医療関係者とサーファーが協力
理学療法士や医師など医療従事者で構成される団体「Green(グリーン)Gravity(グラビティ)Ground(グラウンド)」と地元サーファーがタッグを組み、「障がい者サーフィン『Re+Turn(リターン)スクール』」を行っている。それぞれの職能と湘南という立地を生かし、マリンスポーツを楽しんでもらおうという取り組みだ。
同団体は理学療法士の大島基紀さんが代表となり、2010年に設立された。医療現場で高めた知識をもとに、プロ・アマサーファーのパフォーマンス向上や障害予防のための運動法指導を行うほか、AED講習会など安全にスポーツを楽しむための啓発活動も実施している。
「怪我や病気で後遺症を抱えた人たちの退院後を何とかしたいという思いがあった」と大島さんは話す。自身もサーフィンを趣味としている大島さんは、障害が残ってもアウトドアな余暇活動としてサーフィンを楽しむことはできないかと、サーフショップを営む地元サーファーの劔持良輔さんに相談を持ちかけた。
最初は主治医の理解を得るのが難しく、受講者を集めることに苦心した。しかし活動に共感する仲間が集まり、ドクター理事である長沢雅子さんなど医師がメンバーに加わったことで環境が整い始め、昨年初めてスクールが開催された。
スクールは平塚海岸を中心に近隣市町の海岸で行われ、15人ほどの会員が障害者の波乗りもサポートする。同団体がコンディショニングを行うプロサーファーにも取り組みが知られるようになり、協力を申し出る人も増えた。
「とにかく、安全面には細心の注意を払っている」と話す劔持さん。その日の海のコンディションの判断や、どの波なら安全で楽しく乗れるかの見極めなど「海の安全」を確保するのが劔持さんたちサーファーの役割だ。一方、個々のコンディションを把握し、体の安全を守るのが大島さんら医療従事者の役目。それぞれのプロフェッショナルが、きめ細やかに対応する。
「海に入ることがいい影響になっていると感じる」と話すのは、理事の1人である芹澤玲子さん。サーフィンという趣味を持つことで生活に張りと目標ができ、日々のリハビリを頑張ろうという気持ちにつながっているという。
現在は組織の基盤を固めるためのNPO法人申請や、受講者の安全性向上と楽しむ幅を広げるためにサイズの大きな板を購入するなど、環境の充実に努めている。大島さんは「今は一歩一歩確実に地盤を固めている段階。今後は釣りや他のジャンルも取り入れて活動の幅を広げていけたら」と、展望を語った。
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