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日本国憲法の制定過程から学ぶ 衆議院本会議での北昤吉議員の質疑【3】 〈寄稿〉文/小川光夫 No.71

公開:2011年6月3日

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 現在の国会は「ねじれ国会」といわれている。この言葉は、2007年の参議院選挙で自民党が大敗したときにマスコミが使用したことから始まる。その選挙で参議院の主導権は、野党に移ったが、参議院の任期が6年であることから、その状況は6年間続き、その間には様々な形で政治が停滞しただけでなく、更なる連立抗争も行なわれた。これは参議院選挙で負けた現在の民主党も同様であり、自民党政権であった時と同じことが繰り返される恐れがある。何故、衆議院で過半数を確保しているのにもかかわらず参議院で負けたらこのような問題が生じるのであろうか。

 日本国憲法では、内閣総理大臣の指名及び予算の議決、条約の承認では衆議院の優越が与えられている。しかし特に法律案については、「衆議院で可決した法律案を参議院が否決したときは、再度衆議院で3分の2以上の多数によって法律案を成立させることができる」(第59条の二)、「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなす」(第59条の四)となっており、当該政府が公約を掲げて法律案を改正しようとしても、再議決を頻繁に行なうことができないことから国会運営の停滞や議案の不成立などが生じることになるからである。

 ここでもう一度、北議員の質疑に戻る。北議員はフランスの思想家シェイエスの言葉を真似たのか「衆議院と似た者が参議院で当選するようであるならば、その者は無用である」、また「参議院の60日以内の議決というのは長すぎる、せいぜい20日か二、三週間ぐらいが適当である」と発言している。これまでの衆議院及び参議院は何らかの形でほとんどが政党中心主義に動いており、「十分に審議を尽くす」という本来の参議院の機能を満たしていないのが現状であり、また北議員が審議を尽くすという観点から「両院協議会」を開くことを主張したが、それは憲法にも規定されることになるが(1989年に35年ぶりに協議会が開かれ、何度かは開催されるようになった)、「両院協議会」も本来の機能をあまり果たしておらず北議員が心配していたように参議院の存在すら必要なのかどうか考えてしまう。

 現在、国会議員の給料は、「議員は、一般職の国家公務員の最高額を少なくない歳費を受ける」(国会法第35条)となり、役職のない議員でも月額で137万円を超える。これにボーナスや文書交通費、特殊乗車券、調査費、その他政党助成金などを換算すると、国会議員の一人当りのコストは年間3億にも膨れあがる。もし参議院議員がいなければ、定数が242人であるから少なくても毎年726億の国民の税金が毎年使われなくって済む(大臣はもっと給料は高い)。そして一人あたりの一般国民が大卒で働く38年間(勤続年数)で3億を稼ぐとするならば、その38年間で約3兆円の税金の節約になるし、議員年金及び公設秘書など参議院に付随する費用を加えると莫大な税金が節約されることになる。イギリスの上院、スイスの地方議員が無報酬であるように、日本も参議院と地方議員をボランティアにすればどれだけの税金が浮くことか。
 

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