大磯・二宮・中井版 掲載号:2011年9月30日号
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日本国憲法の制定過程から学ぶ 教育基本法の改正と日本国憲法 〈寄稿〉文/小川光夫 No.87

 新教育基本法が平成18年12月に公布・施行された。旧教育基本法の前文には、「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設・・・する決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力をまつべきである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、・・・個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及し、徹底しなければならない。ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。」とあったが、新しい教育基本法は、全体的な内容には変化はないものの「個人の尊厳」と並んで「公共の精神を尊び」とか「伝統を継承し」などという言葉を新しく加えている。このことは「個人の尊厳を重んじる」ことが絶対的なものではなく、「公共の精神」及び「伝統の継承」のためには制限しうるということを意味する。また新教育基本法には新たに「教育の目標」という項目を設け、「公共の精神」、「伝統と文化」、「我が国と郷土を愛する」という言葉を加え、「教育の目標」の中に多くの徳目、態度を組み込んでいる。国家が国民に価値観を明示して、教育を統制していこうということであるらしいが、このナショナリズムの雰囲気については機会があれば後日述べることにする。

 ところで教育基本法は、「日本国憲法の精神に則り」とあるように、日本国憲法前文及び第13条などを意識して作成されている。私は、正直に言って憲法の前文の一部及び第13条の「個人の尊厳」、「生命・自由・幸福の追求」という文言についてはあまり好感が持てない。何故なら、これらの文言は民政局(GS)運営委員のハッシーが「アメリカ独立宣言」からとって、それを日本国憲法に残したものであるからである。

 「すべての人間は平等につくられ、造物主によって一定のゆずりわたすことのできない権利をあたえられていること、これらの権利のうちには生命・自由および幸福の追求が含まれている」とは「アメリカ独立宣言」の一節である。当時イギリス人など西洋人は、植民地化政策を推し進めるために、原住民ネイティブ・アメリカン(インディアン)の土地を暴力と殺戮によって奪い取り、やがてイギリス人はフランス人などをアメリカ大陸から追い出した。そして今度は、本国と重税や東インド会社へのお茶の免税をめぐって対立し、イギリスからの独立を果たすことになる。その時に出されたのが「アメリカ独立宣言」なのである。「アメリカ独立宣言」は、上記にあるような全人類の「個人の尊厳」、「生命・自由・幸福の追求」を掲げたものでは決してなかった。アメリカ人のために、アメリカ人だけの宣言であり、原住民は土地や権利を剥奪され、黒人は奴隷として差別されていた。私は日本国憲法が掲げる理想は、原住民の殺戮と黒人差別を顧みないで発せられた「アメリカ独立宣言」の言葉を引用すべきものではなく、日本国民が自ら考え、自らの責任と反省の基で考えられた言葉で綴られるべきであると思っている。
 

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