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日本国憲法の制定過程について 〈寄稿〉文/小川光夫(最終回)

公開:2012年5月25日

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 私の若い頃は、日本国憲法の三大原理が素晴らしいものであると思っていた。しかし、「日本国憲法の制定過程」の研究を始めてからは大きく変化した。松本委員会が明治憲法を温存しようとしたこと、宮澤俊義の毎日新聞がスクープした宮澤俊義の憲法改正草案が、実は明治憲法とほとんど同じであったこと、憲法の原案を作成した民政局の人達が共産主義を目標とする民主党左派の集まりであったこと、そして彼らは日本政府に対しては言論統制をなしていたこと、また極東委員会のソ連提案を憲法に取入れたことなどである。

 今日の日本社会の混乱は、日本国憲法が非常に曖昧であることが起因しているのではないかと私は思っている。そのことがアメリカからの占領下から抜け切れない要因にもなっているし、北方領土や尖閣諸島などの領有権問題においての消極性に繋がっていると思う。以前、政府は憲法の基本理念に基づいて愛国心の必要性を述べ、教育基本法を改定して教育現場に国旗掲揚・国歌を義務づけたが、国旗を掲揚し、国歌を歌うことを強要しているのは、小・中・高校の教育現場だけであって、国会議員が進んで行動している訳でもないし、マスコミや大学、企業、家庭などもその必要性を認識して徹底している訳でもない。

 時代は変遷して、今日では、政治・経済の弊害や腐敗などが様々なところで表面化してきた。しかし、だからこそ、これまで日本人が言えなかったことも言えるようになってきた。「大阪維新の会」がそうである。教育制度については異論もあるが、しかし彼らが言うように現在のような参議院では存在する必要性はない。参議院議員は、お金がかかるし、国会審議を遅らせる。一般に一院制は新興諸国に多いが、大国は二院制を採用している。それは大国では、議会制民主政治にとって国会審議を十分に行うことが重要であるとしているからである。しかし、今や日本は、橋下大阪市長を中心とした独裁的な政権を求めるようになってきている。それは議会制民主政治の崩壊を意味しているのであるが、国民の多くは彼らに同調している。何故なのであろうか。同じ二院制で議院内閣制を採用しているイギリスでは、二大政党制が長く続いていて、しかも野党であっても影の内閣をもって政権交代の準備をしており、日本と違って責任内閣制が徹底している。従って根本的に二院制が悪いというのではなく、日本の参議院がイギリスとは異なり極端な政党中心主義に陥り、しかも法律案の手続きや問責決議を利用して与党の法案を遅らすことのみに力を注いでいるからである。これらを解決するには憲法を改正して参議院をなくすか、あるいは国民投票法を活用して直接政治に訴えるしかないということである。

 今回をもって私の原稿を紙面に載せるのも最後となる。私が最初に執筆して3年の歳月を経たが、写真の表題が誤って文章の中に組み込まれたり、誤字・脱字があるなど大変読みにくいところもあったことを心からお詫びしたい。これらについては、近い将来、本を出版するのでそこで訂正したいと思う。最後に、「日本国憲法の制定過程」について少しでも興味・関心を持って戴き、また大磯に住んでいた人達の中に明治憲法だけでなく日本国憲法の制定にかかわった人達が多くいたことを、多少なりとも知っていただけたならば幸いである。
 

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