二宮ゆかりの画家 連載第17回 二見利節(としとき)・その生涯
富士山の絵
昭和四十九年十一月二十三日だったと思うが、小学校の同級生三人で利節のアトリエを訪れた。相変わらずジュウタンの上にあぐらをかいて絵を描いていた。そばに三十号ぐらいの富士山を描いた油絵が三枚あった。六合目ぐらいの所に太い白雲がかかっているもので三枚とも同じように見えた。利節は雲の色が皆違うという。素人の目にはどう見ても区別がつかなかった。
そのとき利節は次のようにもいった。「俺は今絵を描き始めたら一気に描いてしまう。あとは一切手直しはしない」と。作品の裏に書いた彼の言葉「僕が描くのじゃないよ。仏と云うものが描くのだよ」を思い出した。 (つづく)
※「二宮町近代史話」(昭和60年11月刊行)より引用
二宮町にアトリエを構え、創作活動に打ち込んだ洋画家二見利節(1911〜1976年)の生涯を紹介しています。
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