自転車による周遊観光を促進し、湘南地域の観光地としての魅力を高めようと、大磯町や二宮町を含む4市3町と県などからなる湘南地域自転車観光推進協議会は、シェアサイクルの導入に向けた実証実験事業に乗り出す。現在、協働事業者の公募と選定が進められており、県は「江の島でセーリングワールドカップが開催される8月から実施したい」と話す。
シェアサイクルは、複数の駐輪場(サイクルポート)でいつでも、どのポートでも自転車の貸し出し、返却が可能な交通手段。昨年6月に国の「自転車活用推進計画」が閣議決定されて以降、全国的に導入が加速している。こうした背景から同協議会は「富士山を眺めながらサイクリングできる絶好のビュースポットである湘南地域で周遊観光を促進し、利用者の利便性向上につなげたい」と同事業を進めている。
対象エリアは平塚・鎌倉・藤沢・茅ヶ崎の4市と、大磯・二宮・寒川の3町で、湘南広域での実証実験は県内初となる。期間は8月1日(木)から2022年3月31日(木)まで。各市町のJR東海道線主要駅などから国道134号線の間にポートを設置し、経済効果や利用者数、利用時間などのデータを検証する。設置場所は公共用地やコンビニの駐車場などを想定している。
すでに町内で自転車シェアを導入している大磯町は「現状はシェアサイクルを町内で返却する必要があるため、利便性に限界がある。広域で自転車ネットワークを構築することができれば、大磯町という『点』から相模湾という『面』での展開が可能になり、日常の移動手段としての利用エリアの拡大や町外からの交流人口の増加なども期待できる」と話し、二宮町は「道路が狭い、駐車場がないなどの町の観光課題が自転車の活用で緩和され、地域の交通渋滞の減少にもつながれば大きなメリットになる。町民も利用することで町内の交通弱者対策の一翼も担える」と期待を寄せる。
県内でシェアサイクルの実施実績のある企業などを対象に協働事業者の募集と選定が進められている。3月13日(水)に提案プレゼンテーションを実施し、20日(水)に選定結果が通知される。なおポートの設置にかかわる費用は協働事業者が負担。自転車の台数や、ポートの場所と設置カ所数、利用料金のほか、期間終了後の継続利用などについては、協議のうえ決定する。
電動アシスト導入で事業拡充の大磯
昨年3月から町内で自転車シェアリング事業をスタートさせている大磯町は新たに、県西地域でシェアサイクルを提供している株式会社陽報と自転車シェア事業の展開で合意した。町内に電動アシスト付き自転車と充電もできるポートを設置し、自転車を活用した地域活性化の拡充を図る。年度内の協定締結と、4月以降の事業展開を目指す。
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