大磯町と司牡丹酒造株式会社=高知県=は7月22日、吉田茂元首相が愛飲した日本酒を元に開発した純米酒『決断の聖地』の販売発表会を旧吉田茂邸で開いた。同日から町内外の酒販店で販売を始め、旧吉田邸の存在を全国にアピールする。
外交官出身で洋酒を好んだ吉田だが、実父の出身地である高知県を選挙区とした際に知人から薦められた地酒を気に入り、それからは取り寄せてまで愛飲していたという。その地酒を造っていたのが高知で最も古い歴史を持つ、1603年創業の同社だった。吉田は1960年に同社を訪れて、当時の竹村源十郎会長と懇談。その際に撮影された写真は同社と旧吉田邸に展示されている。
同社と町は2018年、旧吉田邸の周知と地域活性を目的とした応援パートナー協定を締結。旧吉田邸で様々な政治的決断がなされた歴史にちなみ、町が「決断の聖地」をキーワードに同邸のリブランディングを進めていることから、その名を冠した日本酒の商品開発が行われた。
決断時の1本に
販売発表会には、源十郎氏のひ孫にあたる竹村昭彦社長が出席。日本酒のもつストレス緩和効果や吉田茂が飲んでいた当時の酒に近づけたことなどを説明し「品格のある香りと、なめらかに膨らむ淡麗辛口の味が特徴の食中酒。冷やしても常温やぬる燗でも楽しめる。大きな決断に迫られた時に後押ししてくれる酒として、ぜひ味わってもらいたい」とPR。ラベルのデザインを手がけたケレン株式会社=東京都北区=の前田朋子代表は「日頃からストーリーのあるデザインを大切にしており、今回も吉田邸の歴史を調べたり現地に足を運んでイメージを膨らませた。ラベルの黒は『決断の聖地』への入り口である兜門に落ちる影、金色は太陽を受けて輝く石畳で、その上にある足跡は一歩踏み出す人をイメージした」と話した。
大磯町内の酒取扱店10店や全国の地酒販売店で購入できる。価格は1800mlが3940円(税別)、720mlが1930円(税別)。売り上げの一部が大磯町旧吉田茂邸整備活性化基金に寄付され、旧吉田邸の利活用や維持管理などに役立てられる。中崎町長は「建物を示すだけでなく、この場所で様々な決断を下した吉田茂の心を伝えていくことが大切。その思いをこの1本に込めて、決断の場としての旧吉田茂邸を残していきたい」と期待を寄せている。
問い合わせは同社【電話】0889・22・1211。
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