新型コロナウイルスの影響に伴うテレワークの広がりで郊外や地方での暮らしに関心が高まるなか、「お試し移住」が二宮町で行われている。大磯町では官民が連携し、移住・定住促進に向けた取り組みを開始した。
地域住民と二宮町、県住宅供給公社で組織する一色小学校区地域再生協議会が実施するお試し移住には、東京や横浜などから募集数の2倍にあたる24組の応募があった。週2日以上はテレワークで働くという条件で、40歳未満の家族やカップルを優先的に選定。11月下旬から4週にわたり、毎週3組ずつが週末の2泊3日で二宮暮らしを体験している。
寝泊まりするのは、百合が丘の二宮団地公社住宅の空き室と民間宿泊施設。宿泊費は無料で、国土交通省の空き家対策担い手強化・連携モデル事業の補助金を活用した。
11月27日から29日まで小さな子ども連れの家族など第2グループが滞在。初日にガイダンスがあり、太平洋不動産の宮戸淳さんが「周辺地域と比べて二宮町の不動産相場は賃貸・売買ともリーズナブル。交通の利便性もよく、コロナ禍で移住をする人は増えている」と説明した。
「仕事だけでなく、自然とのふれあいや趣味を楽しみ、心豊かに過ごすことを大切にしたい」と都内から参加した60代と21歳男子学生の父子。ウェブ関連の仕事をしているという千葉県在住の女性は「二宮団地再編プロジェクトのインスタグラムを見て団地暮らしに興味がある」と話した。
参加者は不動産物件を見学したり、ガイドマップを参考に町内をめぐったりして3日間を過ごした。再生協議会の廣上正市さんは「移住者に新しい風を吹き込んでもらいたい」と期待を寄せる。
移住後押しへ連携大磯町と社団法人が協定
人口減少や少子超高齢社会に対応するため、大磯町は一般社団法人海鈴(かりん)大磯と移住・定住の促進活動に関する協定を11月24日に締結した。町は観光施策を軸に交流人口の拡大を目指してきたが、移住・定住に結び付けるための移住相談やセミナーなどは実施していなかった。協定の締結により両者が情報共有を図り、移住を促す取り組みを協働で進めていく。
同法人は今年9月、移住希望者の相談窓口となる「ふるさと回帰支援センター大磯」を設立。新旧住民が集まる「磯人ネットワーク」も発足した。同ネットワークを核に、移住支援の活動を展開し、空き家を活用したお試し移住施設の運営などを行う。すでに問い合わせが来ていて、大磯を知りたい人へ町内を案内することを始めた。
締結式で中崎久雄町長は「豊かな自然と歴史、文化がある」と町の魅力を強調。「移住・定住促進の取り組みは全国的な傾向で大磯町も乗り遅れるわけにはいかない。民と官が一緒になり、多くの人が大磯に関心を持って住んでもらえるようにしたい」と話した。
海鈴大磯の富山昇代表理事は「交流人口の一歩先に関係人口があると思う。移住に関わるファンを増やすために『関係案内所』を目指し、移住者の応援団として手伝いたい」と意欲を語った。有楽町にあるふるさと回帰支援センターが主催する移住フェアへの参加、地引網の体験、移住者が開いた店舗めぐりなどのツアーを実施することも考えているという。
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