大磯中学校の卒業生でピアニストの坂本里沙子さんが3月9日、母校で講演と演奏を行った。3年生へロシアの国立モスクワ音楽院に6年間留学した経験を語り、シューベルトやラフマニノフの曲などを披露した。
「高校時代は先生から、演奏がその作曲家らしくないとよく言われた。日本人が西洋文化にお邪魔している感覚だった」。音楽高校で同音楽院の教員と出会い、ロシアでピアノを学ぶことを勧められたという坂本さん。高校を卒業した2012年、言葉が全く話せないまま渡露した。
講演では、留学1年目はロシア語の習得に励み、右手を故障したときは左手だけで弾く曲に挑んで試験をパスしたことや授業の様子を語った。現地の友人から芭蕉の有名な句について聞かれた出来事を振り返り、「友人に説明したけれど、日本の池やカエルを想像できなかったのではないか」と推測。「海外の人は日本に関心を持っている」「西洋音楽のクラシックを学ぶことは、その国の文化を理解すること」などと述べた。
地図や写真を交えながら、ロシアの国土の広さや名所、料理、言葉なども紹介。後輩たちへ「大磯中での日々を忘れずに、いろいろなことにチャレンジして」とエールを送った。最後に生徒の質問とリクエストに応え、「音だけに集中して自分の世界に入っているときが一番いい演奏ができる」と話した。
クラシック音楽に親しんで国際理解を深めてもらおうと、坂本さんは小中学生を対象にピアノの生演奏を届ける活動を展開。留学の体験談を通じて「ロシアについて知ってもらえたら」という。
同校の3年生142人は11日に卒業した。旅立ちを前にした3月初め、学校付近の海岸で清掃活動を行った。
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