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大磯・二宮・中井 社会

公開日:2022.08.05

友の遺した物語を書籍化
たかしまさんが絵を担当

  • たかしまてつをさんと『金網の向こう』

 大磯町在住の画家兼イラストレーター・たかしまてつをさん(55)が絵を担当した単行本『金網の向こう』が、7月18日に角川春樹事務所から発売された。2018年に早世した作家・向山貴彦さんが遺した物語に、仕事仲間で親しい友人のたかしまさんが絵をつけてツイッターで連載したものが一冊の本にまとめられた。全国の書店やインターネットで1430円(税込)で販売されている。

 物語は米国で生まれた日本人の少年が主人公。帰国後に両親の薦めで米軍基地内の小学校へ通うことになった「ぼく」は、様々な人種の子どもたちが通う学校ならではの独自ルールや暴力に直面する。恐怖に怯えていた「ぼく」だが、やがてそこで生きていくための知恵を絞り、勇気を得ていくというストーリーで向山さんの少年時代の実体験が元になっている。向山さんがツイッターで連載するために執筆したが発表前に他界。後に夫人が原稿を発掘し「多様性という言葉が注目される今、必要とされている物語では」と向山さんの友人数人に送付した。その中にたかしまさんや編集者がいたことが連載や書籍化につながった。

幅広い世代に

 たかしまさんと向山さんは、ミリオンセラーとなった英語学習書『ビッグ・ファット・キャット』シリーズで共著して以来の友人。愛称で呼び合い、ゲームなどをして遊ぶ仲だったという。原稿を受け取ったたかしまさんは文章にイラストを加えて、自身のツイッターで2022年3月から2カ月半にわたり連載した。向山夫人が提供してくれた写真を参考に想像を膨らませてイラストを描いたといい、時折コミカルなイラストを混ぜ込むことで読者がややハードな内容でも楽しんで読めるように工夫したという。「描きながら、気さくで話好きな彼の声が聞こえてくるようだった。出版社の計らいで書籍化となり、また彼と話ができたと思うと感慨深い」とほほ笑む。子どもたちに読んでもらおうと夏休み前の出版を目指して準備を進めてきたが、たかしまさんは「描かれている内容は人間関係や自分の生き方を自分で決めることなど大人が読んでも学ぶことがある。幅広い世代に読んでもらえれば」と話している。

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