1923年に発生した関東大震災による中井村(現・中井町)の被害状況を記録した「中井村震災紀念誌」を町民有志が現代語訳し、2月10日に発行した。
同紀念誌は関東大震災後の町の様子を記録するため、中井村が震災2年後の25年2月に発行。50年ほど前に町内在住の権守忠義さん宅で発見された原本をもとに、町民有志で結成された同紀念誌実行委員会が新版として現代語訳した。
震源や震域、余震の回数、気象状況などが記録されているほか、「中井村各字(あざ)の被害概説」として、地区ごとの家屋の倒壊状況や死者名、恩賜金に至るまでが記されている。村から編集を依頼されたのは農業生産組合副理事長などを務めた松本愛敬氏。原本は東京の印刷所で刷られていた。
同委員会は「現在も当時の地番が多く残り、子孫が暮らしている。どうにか記録に残したい」と2016年頃から方法を模索。相原トシ子さん、加藤久美さん、藤井秀壯さん、山口隆治さんの4人で新版の編集にあたった。原本は藤井さんがオンラインサービスの文字認識機能を使ってデータ化し、そのままでは読むことが難しい表現は、現代の漢字に置き換えた。
さらに、同委員会では校正作業も追加。活版印刷時に生じたと推測される誤字のほか、地元町民だからこそ気づくことができる人名や固有名詞などの250カ所の間違いに、今も残る当時の名簿や子孫への聞き取り、墓石の彫刻などを頼りにして訂正を加えた。原本に姓のみ記載されていた場合も、名前がわかった人についてはフルネームで表記が追加されている。
中井町文化財保護委員を9年務めた山口さんは「関東大震災は東京や横浜の火事などがよく知られているが、震源は県西部に近かった。今の時代の減災、防災に役立つ情報が詰まっている」と話していた。紀念誌は86頁で税込千円。購入希望者は加藤さん【電話】090・2549・9561。
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