長引く物価高が、食料支援団体の活動にも影を落としている。ひとり親家庭を中心に食料品を提供しているNPO法人フードバンク湘南(平塚市御殿)では、支援を必要とする世帯の増加に対応が追いつかず、新規申し込みを一時休止する事態に陥った。活動資金にも頭を悩ませる中、スタッフは「市民や企業からの寄付が頼り」と協力を呼びかける。
フードバンク湘南は、市内外の登録者に対して個人や企業から寄付された食料品を届けている。
2017年の設立以来、支援世帯の数は右肩上がりだ。設立2年後の19年度は981件だった世帯数が、コロナ禍の20年度は2072件に急増。22年度は物価高の影響もあり4352件に膨らんだ。
需要増で追いつかず
同NPOの久松周史さんによると、食料品の寄付は年々増えているものの、支援世帯の増加に追いついていないのが実情だ。特にここ最近は個人からの寄付が伸び悩んでおり、理事長の大関めぐみさんは「事務所に届く食品の宅配便もめっきり減った」と話す。物価上昇が長引き、これまでのように寄付に手を回す余裕がなくなった家庭が増えたためとみている。
当事者からの依頼だけでなく、同NPOには平塚市役所の関係各課や平塚市社会福祉協議会からも支援の要請が寄せられる。支援世帯の増加を受け、今年からは平日の3日間だった活動日に土曜日を加えて対応するものの、食料品の不足やボランティアの負担もあり活動はひっ迫。2月に入ると、新規の申し込みを休止せざるを得ない時期もあったという。
厳しい運営状況
運営資金は、事務所家賃や人件費、保有する保冷車の維持費などを含めて年間400万円ほど。その大半を寄付金で賄っており、台所事情は厳しい。10年以上取引のない預金を社会課題の解決などに充てる「休眠預金等活用事業」を利用し、市内企業に支援を呼びかけているものの、成果につながるのは数件という。
久松さんは「今は、フードバンク同士で寄付を奪い合っているような状態」といい、持続可能な活動のためには地域単位での協力体制の構築が重要と指摘する。市内の町内会や学校などと連携した活動も模索しており、「市民に活動をより広く知ってもらい、地域とのつながりを生かした新たなモデルが作れたら」と話している。
同NPOへの寄付に関する問い合わせは【電話】︎0463・79・5824。
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