沼代のみかん 推定樹齢は300年 玉川大准教授の調査で判明
市内沼代に、推定樹齢300年のみかんの木が凛として立っている。樹木医で玉川大学農学部の山岡好夫准教授による調査で明らかになった。
「昔から存在していたと聞いて150年ぐらいかと思っていたけれど、まさか300年とは。驚きました」と語るのは、調査を依頼した秋澤史隆さん(33)。みかんの木を所有する秋澤敬久さんとは隣同士で、ともに農家を営む。
古木の扱いについて、3年ほど前から2人で議論を重ねてきた。毎年11〜12月に果実はなるものの、現在市場に出回っている品種ではないため、売り物にはならないという。維持するだけでも肥料・農薬費を要するため、敬久さんは伐採を考えていた。それに対し史隆さんは「価値のあるものだから残そう」と進言。そして昨秋、史隆さんが知人を通じて紹介してもらった山岡准教授に診断を仰いだ。
「地域の宝として守りたい」
高さ8m、幅8mにおよぶ大木。4本の枝の切断部をサンプルとして受け取った山岡准教授は、調査資料に値するかどうか判断。2本は欠落が激しいため対象から外し、残り2本の断面を使用して樹齢を探った。
まず、断面の直径を年輪で割り、1年あたりの平均成長量を推定。より月日を重ねた地面に近い樹幹の直径を、その平均成長量で割り、地下部分の推定樹齢5年を加えて全体の樹齢を計算した。結果、2本の枝からそれぞれ297年、319年という数値が算出された。山岡准教授は、「他のデータと比較しても、とても希少な個体だった」と評価した。
遡ること300年前は江戸時代中期。史隆さんによると、「この時代に紀州出身の商人・紀伊国屋文左衛門が関東にみかんを広め、小田原市でも栽培が進んだそうです」。今後は商品化も視野に入れ、「地域の宝として守り、後世に残していきたい。天然記念物になれば」と地域活性化に役立てていきたい考えだ。
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