練り物や漬物などの製造販売を行う(株)美濃屋吉兵衛商店(本社市内成田・鈴木吉兵衛社長)が3月9日、横浜地裁小田原支部へ出していた民事再生法適用の申請を取り下げた。今後は裁判所を介さず、事業を続けながら経営再建を目指す。
創業450年の歴史を誇る、小田原を代表する老舗のショッキングな報道から約1カ月。今後は債権者との話し合いを進めながら、財政面の見直しを図っていく方針であることが明らかとなった。
鈴木社長は本紙の取材に対し、「今回の件を受けて、企業の脇が甘い体質が明るみになった。これを機に経費全般について再確認し、水ぶくれ体質から筋肉体質へ改善を図っていきたい」と気を引き締めた。
従業員は一致団結
一方、再生法適用申請の報道後、同社の売上げは好調。前年比約1割増で、23年前の開店当初から錦通り店の運営に携わる同社員の村山恵さんは、「お客様の数が格段に増えた。皆さんから『がんばって』という声を多くかけて頂いたことで、不安な時期を乗り越えることができた」と感謝の気持ちを口にした。
また、「ここの塩辛じゃなくてはダメなんだ」と県外から訪れる客もあり、「伝統の重みを感じる。商店街の仲間の支えもあり、応援してくれる人たちの思いを大切にしようと、従業員も改めて一致団結したように感じる」と話していた。
同社は日本食離れや企業の経費削減によるギフト離れなどの影響を受け、2014年3月期の年間売上高は10年前より約35%減少。主力である蒲鉾の製品バリエーションやパッケージの工夫など立て直しを図ってきたが、原料高騰のあおりも受けて改善には至らず。約30億円の負債を抱え、1月28日に民事再生法の適用を申請していた。
【民事再生法】
経営が困難になった会社の再生手段として、2000年4月1日に施行。
例えば、事業自体は黒字だが、債務返済のために資金繰りが悪化し、倒産しそうな会社が、債権者の同意のもと、事業の存続と債務の減免などを求め、再生計画を作成。裁判所の承認が得られれば、裁判所の管理のもと、再生を目指すことができる。従来の会社更生法と違い、経営者はそのまま事業を継続できる。
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