横浜市港北区で5月11日に発生したアパート火災は、頻繁に119番通報してくる「頻回救急要請者」に対する思い込みと通報内容の聞き違いなどが原因で死亡事故につながった。これを受け小田原市消防本部情報司令課では、指令管制業務の徹底と新たな災害対策マニュアルを作成するなど、事故防止対策に乗り出している。
同課では119番通報に対するトラブル防止策として、対応する指令管制員とそのやり取りを聴取する指令管制員でダブルチェックを行っている。今回の事故のように通報内容がよくわからない場合や無言の通報など、状況が把握できない場合は消防隊と救急隊を同時に出動させ対応。状況次第では災害対策用監視カメラによる確認作業も並行して行うという。
認知症の疑いがある通報者に対しては同居人がいる場合、電話を代わってもらうか、別の指令管制員が家族に連絡を取り確認するなどの対応をとっていた。今回の事故を受け同課では、様々な災害に対し誰が通報を受けても同じ対応がとれるように、新たに災害対応マニュアルを冊子にまとめるなど、災害通報に万全を期すため動き出した。
2014年の年間119番通報受付総数は誤報やいたずらも含め、1万9643件。うち火災は146件、救急は1万2660件となっている。中でも救急件数は高齢化も伴い、増加傾向にある。市消防本部の管轄内では日に何度も通報する悪質なケースはないものの、頻回救急要請者は存在する。
今回の事故について同課は「通報を担当する部署として絶対に起こしてならないこと。改めて事故防止を徹底していきたい」と振り返り、「消防車や救急車は限りある資源。本当に必要としている人のためにも、上手に利用してほしい」と理解を呼びかけた。
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