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小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記

公開日:2017.02.11

県優良小規模者表彰を受けた(有)川田製作所の副社長を務める
川田 俊介さん
市内中新田勤務 46歳

暗闇に見つけた光

 ○…町工場の未来に光はあるのだろうか――。父が創業した金属プレス加工の町工場を継ぐ決意は固まらず、大学卒業後は大手電機メーカーに就職。10年がかりの一大プロジェクトを担当するなど、システムエンジニアとして着実に経験を積む一方、「真っ暗かどうかすら真っ暗で分からない」と町工場に対する負の印象は拭えぬまま。だが、年を重ねる父の姿に、「継がなければ廃業になるのか」と、惜しくも感じた。オムツがはずれる前から母に連れられて過ごした工場。「ガッチャン、ガッチャン」と響く大きな機械音も子守唄のようだった。「長い歴史のなかで築いた顧客との信頼。機械も整っている。もったいない」。そんな思いで約7年前、副社長として”故郷”に戻ってきた。

 ○…多様な工作機械を備え、市民が自由に利用できる工房「ファブラボ」。アメリカでは珍しくない取り組みを模して、会社で所有する3Dプリンタなどの機器を活用したモノづくり体験も企画している。旅行会社と連携して実施した工場見学ツアーも、都内から参加者が訪れるなど好評だった。「かつてはできることの限界を勝手に決めていたが、町工場でも地域のお役に立てることはあると思うんです」

 ○…趣味は一人旅。常に冷静で穏やかな語り口調だが、エネルギッシュで活気あふれるアジアの国を好む。スリランカで出会ったお坊さんと意気投合し、お寺に泊めてもらったこともある。「カレーピラフやお寺なのにビールもだしてもらって、ホテルより快適だった」。交流は今も続いている。

 ○…役職柄、最近では仕事とプライベートの境目がなくなってきた。だが、少数精鋭ながら障がい者や外国人も多く在籍する社員は皆、互いを思いやる気持ちにあふれる。大企業と違い、取り組んだ仕事の成果がすぐ結果として跳ね返ってくる。「仕事が楽しい。まだ遠いけれど、今は町工場の光がはっきりと見えます」

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