サッカーとゴルフを融合させた「フットゴルフ」。7月に岐阜県で開催され、5カ国から76人が出場した「インターナショナルジャパンオープン」で小田原市中町在住の三浦尚子さん(28)が優勝した。来年には500人以上が参加するW杯が日本で初開催される予定で、日本代表の有力選手として注目されている。
フットゴルフは、サッカーボールを使って行うゴルフで、コースに設けられたホールにいかに少ない打数で入れられるかを競うスポーツ。2009年にオランダでルール化されて以来、欧米を中心に40カ国以上に愛好家がおり、12年からはW杯が開催されるなど、急速に普及している。
国内では14年からジャパンオープンや賞金トーナメントが開催。昨年モロッコで行われた第3回W杯に元なでしこジャパンの丸山桂里奈選手が出場したことで一躍脚光を浴びた。
三浦さんは、兄の影響で小学1年でサッカーを始め、名門国士館大学女子サッカー部を卒業。その後、小田原市立町田小学校の教員として勤務しつつ、大井町にあるフットサルクラブ「ジュラーレ」に所属し、プレーを続けた。「シュートアニージャ」(横浜市)を経て、さらなる飛躍を求めて17年に教員を辞め、「フォレストアネックス」(関東フットサルリーグ)に移籍した。
ところが、翌年の9月の試合で右足首靭帯を損傷。選手としての継続は危ぶまれたが、「ボールを蹴り続けてきた人生。諦めきれない」。打ちひしがれる中で今年3月、都内のスポーツショップで偶然フットゴルフのポスターが目に入った。
「走らないなら、今の私にもできるかも」と、ルールもわからないまま栃木県で開催された関東ツアーの初戦に参加した。「相手に合わせない個人競技ならではの面白さと難しさ。何より広々としたフェアウェイで空に向かって蹴る爽快感がたまらない」と、その魅力に夢中になった。
コーチはつけず、練習は近所の河原に出掛けては独学で技術を学ぶ日々。しかし、フットサルで培ったセンスが活き、常にアンダー2〜3で回り戦績を上げていった。
プレー歴4カ月で臨んだジャパンオープンでは、初日こそ台風の影響でスコアは荒れたものの、持ち前のメンタルの強さで最終ホールで逆転、勝利をつかんだ。「マイナー競技だからこそ、世界も夢見ることができる。日本代表入りし、多くの人に知ってほしい」。まずは、W杯の前哨戦となる11月のアジア大会を目指し、全力蹴球だ。