小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記
公開日:2020.05.09
小田原市消防団の団長に就任した
中村 和久さん
小田原市根府川在住 63歳
「地域との繋がりを財産に」
○…仕事や家庭を持ちながら地域の消火や救助にあたる消防団。活動30年を経て4月から小田原市消防団750人のトップに就いた。これまで自営業者が多かった団員は時代の移り変わりとともに会社員も増加。消防団の在り方が変わっても「組織は人が作っているという考えの下、団員が無理なく活動できるようにしていきたい」
○…生まれも育ちも根府川。横浜市役所に勤務していた29歳の時、地元の先輩から消防団への声がかかった。軽い気持ちで入団したが「地域の活動なので、顔なじみのお宅が全焼することもある。消火の後は、ここまでしかできなかったという複雑な気持ちになる」。活動を重ねるうちに防火の意識を伝える啓発こそ重要と、消防団が地域の中で果たす責任を考えるようになった。
○…公務員経験が長いため「消防署の方たちから神経質だと思われているかもしれないけど、根はずぼらでこだわりもない」と笑顔を見せる。市役所を退職した今は横浜港の物流関係企業に勤務。母校・法政大学の校友会では小田原地区の副会長を務めるなど地域活動にも精を出す。朝4時過ぎには起床する規則正しい生活の息抜きは「通勤電車での読書と年数回のゴルフ、あとは家のミカン収穫の手伝いくらいかな」と柔らかな表情にも実直な人柄がにじむ。
○…団長就任前は副団長を12年務めた。この間に関わった各地区の分団長は50人ほど。「年齢や仕事も違う人が、たまたま同じ地域ということでつながっていくのが消防団の魅力。多くの人との付き合いが財産だと思っているので、団員にも活動で得られる素晴らしさを伝えたい」。今後は団員確保に加え、女性団員の活性化や市内消防団設備・装備の充実など、取り組みたいことは多い。
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