小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記
公開日：2023.02.18
箱根を拠点に活動する尺八奏者の
工藤 煉山（れんざん）さん
箱根町在住 46歳
音の楽しさを広げて
○…「禅と尺八」をテーマにしたコンサートや、自然呼吸法のワークショップを通じ、音の楽しさを伝える。国際放送のＮＨＫワールドジャパンにも出演し、尺八の多彩な音色を世界中に配信。箱根に移住し１年と少し、自宅の一角に完成したばかりのスタジオでは作曲も手掛けている。
○…北海道札幌市出身。11歳の頃、押入れの奥から親戚の尺八を見つけた。半年間吹き続け、「プッ」と音が鳴った瞬間は「すごい快感だった」と、昨日のことのように覚えているという。笹がささやくような尺八の音そのものに魅了され、夢中になった。東京藝術大学に進学し、大学院修了後に渡英。路上演奏が日本大使館の職員の目にも留まり、ＢＢＣラジオ出演するなど仕事に恵まれた。「３時間程しか眠れなかった」日々が続いたある朝、左耳が聞こえなくなり、目まいと吐き気に襲われた。
○…心身を休めるために音楽から離れること７年。東日本大震災のチャリティーコンサートをきっかけに、「もう一度尺八に人生をかけたい」と活動を再開した。「自然の音」を極めるために、禅のまちでもある鎌倉で呼吸法と身体法に鍛錬する日々。断食までして突き詰める姿を、親しい人たちからは「まるで仙人のようだった」と今も笑われるのだとか。
○…「窓を開けると３秒で森の中」。風や木々、動物たちが織りなす自然の音は、尺八の表現を高める。「箱根に来て、枠組みにとらわれない生き方がどんどんできるようになった」。自ら弟子と一緒に竹を採り、尺八づくりを始めるなど、楽しさの連鎖も広がる。今後は別ジャンルとのコラボにも挑戦したいと考え、「日常の中で聴いてもらえる音楽をつくりたい」と「自分の音」に向かってまい進する。
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