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公開日:2025.09.27

小田原高校科学部
全国総文祭で最優秀
甲虫の起き直り行動研究

  • 発表用のスライドを見せる小林さん(左)と金子さん

 「ひっくり返ったカナブンやコガネムシは起き直ることができないのか―」。そんな疑問を出発点に研究に取り組んだ小田原高校の科学部が、全国高校総合文化祭(7月・香川県)の自然科学部門で最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞した。起き直り方の原理などをユニークな視点で考察し、同部門では県内高校初となる最優秀賞を受賞。研究に携わった生徒は「まさか自分たちが」と驚くが、たゆまぬ探求心でつかんだ快挙に誇らしげだ。

 受賞したのは、科学部生物班の金子凌典さん(2年)と小林匠さん(同)。今年6月に物理部と統合した旧生物部で1年生から活動し、昆虫の生態などについて研究を続けている。

 地面でひっくり返った姿を見ることも多いカナブンやコガネムシ。2人はこれらの虫が自力で起き直ることができるのかという点に関心を持ち、研究を開始した。昨年秋の県総文祭で発表すると最高賞の県知事賞を受賞し、全国総文祭への出場権を得た。

 研究に用いたのは、同校や自宅周辺で採取したクロコガネやアオドウガネ、カナブンなど7種53匹。それぞれの種が起き直る確率を調べると、ほとんどが成功したコガネムシ類と比べてカナブンだけは1〜2割程度だった。起き直り方も、横向きに転がる種と頭を持ち上げるようにする種があることが分かった。

成否の鍵は後脚に?

 「起き直りには後脚の動きが影響しているのでは」と考えた2人は、胴体に紙を巻き付けて可動域を制限したり、ピンセットで脚を持ち上げて可動角度を計測したりと独自の実験を展開。起き直りが得意なコガネムシと苦手なカナブンでは可動角度が最大で50度も異なることが判明し、葉の上と樹上という異なる生活空間が、後脚の動きに関係しているという仮説を立てた。

 発表に使うスライドの作成は、大会当日の深夜まで及んだ。出場校が持ち寄った45件の研究の中で2番目の発表となり、「他校の発表の仕方を聞くことができず緊張した」と小林さん。それでも質疑応答を含めた約14分の中で、自分たちの研究成果を審査員に堂々と伝えた。

 県内の高校では初となる自然科学部門での最優秀賞に、金子さんは「せめて奨励賞がもらえればいいなと思っていた」、小林さんも「周りがハイレベルな発表ばかりだったので驚いた」と振り返る。「でも、最後まで諦めないで少しでも良いものにしようと思って頑張った」(金子さん)と表情は晴れやかだ。

身近な自然が好奇心育む

 2人は幼いころから昆虫採集が好きで、小林さんはハチ、金子さんは甲虫やクモ、ハエなどの生態に関心を持つ。「昆虫が好きになったのは家族の影響も大きい」という小林さんに対し、金子さんは「虫を持ち帰ると嫌な顔をされることもあるかな」と笑う。

 全国総文祭で最優秀を獲得した2人が次に目指すのは、高校生・高専生が自由研究の成果を競うコンテスト「JSEC2025第23回高校生・高専生科学技術チャレンジ」の優秀者に与えらえれる国際大会への挑戦だ。「研究の原動力は好奇心。大会に向けて頑張りたい」と口を揃え、今回の研究成果に磨きをかけている。

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