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公開日:2025.12.06
FMおだわらとヤマハなど
ラジオ音声 文字で伝達
難聴者交え災害実証実験
災害時の情報を多くの手段で伝達することを目的に、ラジオ放送の音声などを文字化して伝える実証実験が11月28日、小田原市役所で行われた。インターネットが利用できない状況下でどういった伝達が効果的か、健常者と聴覚障害者が活用策などを検証した。
今回の実証実験は小田原市役所に放送局を構えるFMおだわらと、音声放送のテキスト化や多言語化に取り組むヤマハ(株)の新規事業開発部、総務省などが実施。この日は同局が聴覚障害者と防災に関する特別番組を放送しながら、市役所2階ロビーにモニターなどを設置して避難誘導の実証実験を行った。
実証実験には難聴者と市職員ら約20人が参加。市役所で火災が発生した想定で、「テストA」は通常のラジオ放送のみ、「テストB」は放送音声をモニターでテキスト化させ、さらに「テストC」ではモニターに表示する文字に色を付けてそれぞれ避難を呼び掛けた。
聴覚障害者はAでは動くことなく、Bの段階から状況を把握。アンケートや意見交換の場で「たまたま画面を見ていたから動けたが、文字のサイズなどを考えてほしい」「テキスト化される時などランプを光らせたらどうか」といった意見が挙がった。
また今回の実証では、人が聞き取れない音域の信号音をモニターが認知すると画面に文字が表示される、ネットを経由しない情報伝達の仕組みの実験も行われた。
実用に向け 検討を
実証実験を行ったヤマハの瀬戸優樹さんは「概ね良い反応が得られた。音声の誤変換や読みやすい文章にできるかなどチャレンジしていきたい」と振り返った。
地域特性に応じた細やかな情報を伝えることができるコミュニティーFMの役割を拡げようという今回の取り組み。FMおだわらの鈴木伸幸社長は「難聴者への情報伝達手段が脆弱なことを痛感した。避難所のモニターに文字を流したり、信号音で直接、多言語化も可能な文字情報を送るといった技術は将来の高齢化も考えるとニーズは高い。数年後の実用化が想定されるが、活用策はいろいろあるのでは」と期待を寄せた。
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