第33回神奈川県花き展覧会 洋らんの部で銅賞を受賞した 田村 義明さん 大井町在住 28歳
一鉢に心こめる 若き挑戦者
○…県内の花き生産者が出品した『第33回神奈川県花き展覧会』の洋らんの部で銅賞を受賞した。惜しくも入賞を逃した前回に続き2度目の挑戦だった今回は“花付きの見事さなど、パッと見ても立派なもの”を選んだという。結果については「金・銀の受賞作は確かに良い作品だったが、決して負けていなかったと思う」と悔しさを滲ませるが、「開園して3年目の新米が10、20年のベテランの中で入賞できたというだけでも嬉しい。これからも自信をもって“お客さんに笑顔で喜んでもらえる花”を育てていきたい」と力強い笑みを浮かべてみせた。
○…大井町で野菜や切り花の農家に育った。畑を手伝うこともあったが、中学生まで「土を触るのが嫌。ラーメン屋になりたい」と農家を継ぐ気はまったく無かったという。転機が訪れたのは高2の頃「長男だし、家業を継ぐべきか…」進路に悩む息子を思ったのか、父親に連れられて見学に行った先が平塚にある胡蝶蘭の温室だった。ズラリと並んだ高級花の姿に衝撃を受け「自分も育ててみたい!」と強く思った。「今思えば親父が“こんな仕事もあるんだぞ”と教えようとしてくれたんじゃないか。多くを語らない人なので想像ですけど」と思いを馳せる。
○…短大で栽培の基礎を学び、卒業後は埼玉の胡蝶蘭生産者の下で5年間修行した。2年前に開成町に温室を構え独立。「こだわってお客さんに喜んでもらえる物を作る気持ちはラーメン屋と同じ。一から始める大変さもあったが、少しずつ常連さんも増えてきました」と嬉しそうに微笑んだ。
○…昨年10月に結婚、家庭も仕事も常に一緒の新婚夫婦だ。「お客さんへの対応やホームページ管理などをやってくれています。本当に助かってますよ」と少し照れながら、傍らの奥さんに目をやった。温室のマスコット犬“ヨシベー”も人気の接客要員だ。道なき道を二人三脚で進む、若き挑戦者を見守りたい。