視覚障害者の伴走ボランティアとして活躍する 片瀬 弘さん 開成町牛島在住 58歳
きれいな景色を感じさせたい
○…足柄上陸上競技協会の審判員や役員を務める傍ら、20年ほど前から視覚障害者の伴走ボランティアとして各種大会に参加している。「たくさんの事を得ることができた陸上に対して自分の好きなことで恩返しをしたいと思い、伴走ボランティアを始めました」。小田原市の視覚障害者のマラソン大会で、初めて伴走を務めたのは40代の頃。その時のランナーが後に、バルセロナで行われたパラリンピックで金メダルを獲得したことが嬉しいと笑顔を見せる。
○…真鶴町で生まれ育ち、就職を機に開成町へ。体を動かすことは好きだが、どちらかというと走ることは苦手だった。腰を痛めたことと、結婚して子どもが生まれたことをきっかけに健康維持のために会社の陸上部へ入部し、中距離を中心に県大会などに出場するように。フルマラソンも15回ほど経験している。「陸上を始めていなかったらまったく違った人生だったかもしれない」。
○…幼い頃から自然に囲まれた生活を送っていたことから、時間を見つけては山登りやきのこ採りなどに出かけているという。「足柄地域は花の名所もたくさんあるので練習をしていて、季節ごとの楽しみがある」。数年前からはそば打ちも趣味としていて教室にも通っている。「おいしく打つのはむずかしい。いつかは自分で育てたそば粉でそばを打ち、家族や友人に食べさせたい」と夢を描いている。
○…「目が見えないかわりに嗅覚や聴覚は研ぎ澄まされている」。伴走をする際は、ランナーの安全はもちろん、気持ちよく走ってもらえるようにと、季節の花の香りや鳥のさえずりなど、周囲の様子を視覚以外で感じられるように情報を伝えることを心掛けている。「視覚障害者のランナーにきれいな景色をイメージさせてあげられるように」と、鳴き声で鳥の名前がわかるように勉強をしているという。伴走を通した恩返しはまだまだ続く。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>