南足柄市 「ささら踊」を後世へ 雨坪で保存会が発足
国選択無形民俗文化財と県指定無形民俗文化財に指定されている足柄ささら踊り。「歌詞の中に地名が出てくる雨坪自治会でも踊りを伝承していこう」と有志が呼びかけ、このほど「雨坪ささら踊り保存会」(下田実代表)が発足した。
6月9日に雨坪公民館で開かれた発足式には30代から80代までの地元住民約30人が出席。足柄ささら踊り保存会の内田幸子会長や、30年ほど前に向田小学校の児童にささら踊りの指導をしていたという実方ヨシ子さんから、踊りの由来や歴史などについての説明を受けた。この日、正式に入会したのは18人。この日出席できなかった人も含めて20人強が発足メンバーとして活動していく予定。同会は今後、11月初旬に行われる自治会の秋まつりでの初披露に向けて8月末から練習を重ねていくという。
下田代表は「2012年に行われた市制40周年記念式典で児童たちの踊るささら踊りに感動して涙が出た。会場からの帰り道に『歌詞の中に地名が出てくる雨坪でも、伝統芸能のささら踊りを復興させ、後世に伝えていこう』という話になった」と発足に至った経緯について話した。
継承される伝統芸能
足柄ささら踊りの起源は江戸時代に足柄上地域に宿場があったことから、江戸の小町踊りと信州の七夕踊りが融合して誕生したものとされている。明治中期までは少女達の盆踊りとして盛大に行われていたが、明治末期には後継者不足のために徐々に踊られなくなっていた。その後1954年頃に南足柄町(当時)で永田衛吉氏らの手によって復活し、「ささら踊り」という名称も付けられ、75年に国選択無形民俗文化財に指定された。足柄のささら踊りの復活は県内の各地域のささら踊りが復活する契機にもなった。
足柄ささら踊りは古くから広町、関本、中沼、飯沢、福泉など各地域で広く踊られており、各地で遊び心のある歌詞で歌われていたが、75年の文化財指定の際に歌詞が集約されたという。現在保存会で公演されている歌詞には「雨坪踊り子は 足柄小町 はでなけだしに玉だすき ヤレー玉だすき」と、雨坪の名が出てくることからも雨坪で盛んに踊られていたことが窺える。
現在では足柄ささら踊り保存会が、7月に行われる「夕日の滝びらき」や9月に開催される「足柄峠笛まつり」などのイベントで踊りを披露している。また、向田小学校では、毎年卒業前に6年生から5年生へ受け継がれることが伝統となっており、2010年に南足柄市と秦野市をメーン会場に開催された「第61回全国植樹祭」では、天皇・皇后両陛下の前でも踊りを披露している。
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