自然教室「土の中から小さな宝石をさがそう」で講師を務めた 山崎 稲雄さん 松田町松田惣領在住 81歳
「マグマの手紙」にどっぷり
○…松田町の自然館で催された自然教室で、地質学の専門家として講師を務めた。松田山で採集した赤土に埋もれている鉱物(宝石)を観察する内容。参加した親子が熱心に観察し、次々と質問してくる姿に感激した。「鉱物は、調べるとその地域の成り立ちや結晶化した時代の様子がわかる『マグマからの手紙』。子どもたちに、少しでもその魅力を伝えられれば」
○…山北町出身。小4の頃、川でサワガニ獲りをしていた際に偶然見つけた貝の化石。その時の感動が地質学にのめり込むきっかけとなった。進学した神奈川師範学校(現在の横浜国大 教育人間科学部)では地学を専攻。卒業論文のテーマに「県西部の地質」を選び、神縄断層について調べた。卒業後は教師として川村小や大磯中などで38年間教壇に立った。「川村小の頃は生徒たちを連れて、よく化石探しにいきました。その頃の子が、今でもたまに連絡をくれます」
○…結婚を機に松田町へ移り住み55年。独身の頃は登山を趣味としていたが、現在は日本各地へ出かけて夫婦で温泉旅行を楽しむ。10年ほど前までは、町のテニスクラブに入っていたことも。最近の一番の楽しみは、3人の孫が遊びに来ること。「3歳になる孫がたまに石を拾ってくる。大きくなったら顕微鏡で鉱物の世界を見せてあげたい」
○…出先でよく土や石を採集してくるため「石でパンパンのリュックが電車の中で破れそうになった」「河原で石を見ていたらイノシシに遭遇した」とエピソードは尽きない。定年後は、専門知識を生かして山北町史別編の編集協力や独自に調べた松田町や県西部の地質を冊子にまとめたりと、さらに没頭している。現在は足柄上地域の土を採集して「富士山と箱根の火山岩の違い」を調査中。定年からコツコツと進めて20年になる。「もうライフワークになっている。いつか一冊にまとめられれば」。粘り強く、地道な調査を続ける。
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