「足柄ささら踊保存会」の会長を務める 内田 幸子さん 南足柄市弘西寺在住 71歳
伝統継承に全力
○…「足柄ささら踊保存会」の10代目の会長として、40代から80代の幅広い年代のメンバー33人と「足柄ささら踊」の保存活動に取り組んでいる。「元々は少女の盆踊りとして広く親しまれていた踊り。子どもの頃に踊った子たちが大人になって、保存会の活動に参加してくれるようになったら嬉しいです」と、県内の保存団体が出揃う大会に特別参加する子どもたちの指導にも力が入る。
○…娘がささら踊りを習ったことをきっかけに、40歳の頃に保存会へ入会した。「当時の先輩たちはだいぶ歳が離れていて、40代は私しかいませんでした。今ではその先輩たちよりも年上になってしまいました」と苦笑い。メンバーに、当時通っていた日本舞踊の師匠がいたことも大きなきっかけとなった。「綿々と受け継がれる伝統芸能の原形を正確に伝承していくために、基本の形を大切にしています」と月に2度、会の定期練習と若手向けの講習会で指導をしている。
○…1964年に結婚を機に平塚から南足柄へ。米やみかんを作る農家へ嫁ぎ、2人の子どもにも恵まれた。気づけば50年。子どもたちもそれぞれ家庭を持ち、4人の可愛い孫もできた。「お互いに好きなことをやってますよ」と、現在は夫と2人で互いの趣味を尊重しながら気ままに暮らしている。「58歳から始めた趣味のカラオケと、4匹の愛猫と遊ぶのがお気に入りの時間です」
○…2010年に開催された国際会議のAPEC横浜では、神奈川県を代表する民俗芸能として紹介された足柄ささら踊。毎年数名ずつ新会員も加入しているが、やはり後継者の問題は常に念頭にあるという。「同じ踊りで、地域ごとにこれだけ多彩な振り付けがあるのも珍しい。市民の皆さんはもちろん、より多くの方にささら踊りの魅力を知ってもらいたい。依頼があればどこでも行きますよ」。伝統の踊りの良さをこれからも守り、伝えていく。