障害者が暮らしやすい街づくりを目指す 山崎 昇さん 南足柄市三竹在住 70歳
車いすと共に奔走
○…南足柄市身体障害者福祉協会会長として60人の会員をまとめる。年間行事の一つである春、秋の研修会では身近な問題について話し合う場になっているが今年3月に市内で開いたものは今までとは形を変え、ボーリングや卓球など障害を持つ人でも気軽にできるスポーツの要素を取り入れ会員と共に汗を流した。「東京オリンピック、パラリンピックが迫っているのでメンバーも体を動かさないと」とほほ笑んだ。
○…協会に入会して30年以上が経つ。中学を卒業してすぐに大工を志し20歳を過ぎて上京。静岡県の現場を手がけていた時に悲劇は起きた。作業中に足場から転落。全身を強打し気が付くと病院に搬送され、下された診断は脊髄骨折。その後、転院した箱根療養所では微かな希望を抱き、リハビリに励むが車いす生活を余儀なくされた。「けがをしてから一年間は歩けると思っていたが叶わなかった。生きていたことが幸いです」と前を向いた。リハビリを機に始めた車いすアーチェリーでは年々その腕に磨きをかけ県や全国大会では上位に進出。30歳を過ぎた頃にはアジア大会の日本代表にも選出された。
○…岩手県宮古市出身。漁業と農業を営む家庭に生まれ、兄と姉3人がいる。少年時代は海が格好の遊びの場だった。「夏はひたすら泳いだ。お腹が空けば潜ってウニやアワビを獲ったのが思い出」と笑う。東日本大震災時には故郷の愛した海が牙をむき、押し寄せた波が姉の家を飲み込んだ。「命は無事だったが、故郷の景色が様変わりしてしまったことが残念でなりません」と声を震わせた。
○…協会メンバーの高齢化や減少が進んでいることが大きな課題だが、それ以上に会員の日常を気にかけている。「南足柄は地形の問題もあり、車いすで生活しやすいとは言えません。少しでも障害を抱えた人が暮らしやすい街にしたい」。この先も地域に優しい眼差しを向けていく。
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