松田町は4月から、所得制限や年齢制限のない不育症治療の助成制度をスタートした。不育症の診断を受け、保険診療対象外の治療や検査を受けた夫婦に年間30万円を上限に通算5年まで治療費を助成する。
国県の制度を踏襲する自治体が多いなか、本山町長が独自の条件緩和策を打ち出した。
不育症とは、妊娠はするものの流産や死産、新生児死亡を繰り返す症状で、結果として子どもがもてない状態をいう。
検査や治療には医療保険が適用されないため、高額な医療費を前に治療を断念する夫婦も少なくない。そのため国や県が助成制度を設け、基礎自治体が上乗せ補助を実施して負担軽減を図っている。
足柄上地区では中井町が2012年、南足柄市が2013年、開成町が2014年に助成制度を創設し、今年4月に松田町と山北町が後に続いた。
松田町を除く自治体は国県と同様の所得制限や年齢制限がある。
松田町は昨年10月にも所得制限や年齢制限のない特定不妊治療費の助成を開始。子どもを授かりたい夫婦を町として支援する姿勢を強く示した。今回はその取り組みの一環。
町の担当者は「初年度でどの程度の相談や申請があるか見込むのは難しいが、年間を通じてしっかりと助成できるよう柔軟に対応していく」と話す。
制度拡充も
不妊症や不育症に悩む夫婦にとって医療保険が適用されない検査や治療は経済的にも精神的にも負担が大きい。そうしたなか近年は国や県、自治体による助成制度が充実しつつある。
妊娠そのものを目指す特定不妊治療は、体外受精や顕微授精による不妊治療の総称で、いずれも医療保険が適用されない。
治療費は医療機関により異なるが1回あたり40万円を超える場合もあるため、国は今年1月に特定不妊治療助成の初回上限額を15万円から30万円に引き上げ、男性の不妊治療にも助成を拡大した。
一方で、39歳からは段階的に上限回数が減るほか、43歳以上を助成対象外とし、夫婦合算の所得制限を設けるなどして財政規律を保っている。
「政治信条として」
昨年10月に特定不妊治療費の助成をスタートした松田町では、今年3月までに6件87万円の助成を実施した。4月以降も2件の申請があったという。
本山町長は「医学的見地からの判断とはいえ、子どもが欲しくても授かれない夫婦の挑戦に行政の側が年齢制限を設けるのは酷だ。政治信条として年齢制限を設けないこととした」と話している。
町では「不妊症も不育症も、経済的な理由で諦めかけているご夫婦は年齢を問わず気軽に相談してほしい」としている。
松田町子育て健康課【電話】0465・84・5544へ。
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