「開成町の水道水は、おいしいんです」―。開成町がこのほど、地下水を使った水道水のPR活動を始めた。その第1弾として6月4日の「あじさいまつり」で「利き水チャレンジ」を実施。近隣には”日本一”の栄冠を獲得した秦野市もあり、開成町の新たなブランド創出に期待が高まる。
開成町が町民に提供する水道水は酒匂川からの取水ではなく、地下80mを流れる深層地下水を汲み上げて配水している。土壌が浄化の役割を果たしていることから水質が良く、浄化処理はせず、水道法で義務付けられている最低限の塩素を加えているだけだという。地下水は丹沢水系からの伏流水で古くから酒造りにも利用されてきた。
最近の調査では血糖値を下げる効果があると言われるミネラルの一種「バナジウム」が豊富に含まれていることもわかった。
さらに客観的な「おいしさデータ」もある。開成町の水は1985(昭和60)年に国が示した「おいしい水の要件」にある残留塩素の量や水温など7項目すべての要件を満たしている。
町役場上下水道課の熊澤勝己課長によると、水をPRするきっかけとなったのは開成町南部の人口増加にある。「ご飯を炊くにも水道水を使わない、との声もあり驚いた」という。さらに節水型の家電が普及したことで水道の利用量が減少していることも職員を奮起させ、「あじさいまつり」の会場で初めて「利き水」を実施し良質な水を紹介することにした。
近隣には”全国一”秦野も相乗効果にも期待
6月4日、あじさいまつりの会場で町が実施したイベントには2時間で122人が足を運び、職員が用意した開成町の水道水と市販のミネラルウォーター2種の味比べをしてもらった。
東京都在住の石田朝友美さんは「水道水は普段飲まないので、こんなに飲みやすいとはびっくりした」と声を弾ませると、2歳の子どもと一緒に試飲した開成町在住の佐宗真弓さんも「普段から飲料用として使っている。冷たくておいしい。自慢できると思う」と太鼓判を押した。
熊澤課長は「市販のものと変わらずにおいしいと言われた」と、さらに手ごたえを感じたようだ。
県内ではこれまでに7自治体がオリジナルの飲料水を販売している(本紙調べ)。その中には今年3月に環境省が実施した「名水百選」選抜総選挙「おいしさがすばらしい名水」部門で7504票を獲得して全国1位に輝いた秦野市の『おいしい秦野の水〜丹沢の雫(しずく)〜』という格好の標的もある。
開成町では今のところ、水道水を販売する予定はないがブランド化する価値は十分にあり、庁内では気運が高まりつつある。
熊澤課長も「多くの人に飲んで欲しい。防災用の備蓄分と兼用するなど市販化の方法を模索したい」と話している。
現在、役場では上下水道課に試飲コーナーを設置。今後は町内のイベントで積極的に周知を図るという。
開成町の上水道は1950(昭和25)年に岡野地区の井戸所有者が地下水を共同でポンプ取水した簡易水道がはじまり。
その後、水道規模の拡張を進め83年からは給水人口1万7500人、日量最大1万1千㎥の供給体制を維持している。
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