声楽家として活動する 蟻生 栄子さん 南足柄市狩野在住 81歳
歌は私の天職
○…音楽の楽しさを伝えるため、南足柄市を中心に指導や演奏活動を50年以上続けている。あした18日には文化会館で仲間と熊本地震の被災地支援チャリティーコンサートを行う。「東日本大震災のときも開催した。私ができる音楽の力で、被災地の方のために何かできれば」と絞り出すように胸の内を明かす。
○…名古屋市生まれ。5人兄弟の長女で、中学1年生のときに岐阜で農業を行う祖父母を手伝うため親元を離れた。「家族から離れてさみしくて。『夜の調べ』のレコードを聴くことが心の支えだった」と振り返る。農作業をしながら歌を口ずさむ毎日―。ある日学校で歌を披露したところ、皆から褒められて歌が大好きになった。楽譜の読み方を教わり、オルガンで曲を弾きながら独学で歌を学んだ。「心の中が歌で満ちていればクヨクヨした気持ちがなくなる。きれいな和音に気持ちが上向き、ポジティブになれる」と魅力を話す。
○…25歳で結婚後、南足柄市に住んだ。短大で声楽を学んだ知識や経験を生かし、自宅で子どもたちを指導するようになった。今年30周年を迎えた「南足柄ジュニア・コーラス」の発足にも携わり、今でもタクトを振る。市内の幼稚園や藤沢の合唱団などでも歌を指導。「教え子はもう数えられないほど。歌は天職」と笑う。自宅には歌の指導に使うぬいぐるみや動物の手描きイラストがずらりと並ぶ。壁に飾られた教え子たちからのカラフルな手紙も、鮮やかに部屋を彩っている。
○…ヴィオラ演奏家の次女ら3人の子どもは独立、孫も3人いる。動物が大好きで、捨て猫だった愛猫2匹と夫と暮らしている。地域の混声合唱団に所属するご主人に頼まれて指導をすることもしばしば。休みが取れるようになったら、夫婦で日本全国を旅行するのが密かな願いだとか。移動はもっぱら自転車。慣れた足取りで軽やかに、子どもたちが待つ教室へと今日も向かう。
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