任期満了が3カ月後に迫る山北町議会(定数14)で、現職の引退に伴う議員のなり手不足が深刻な問題となっていることが分かった。引退の意向を示している現職への同僚議員による慰留も行われているが、表面化する新人の動きもなく、議会周辺の懸念が顕在化している。
1月24日から30日にかけて行った議員への取材では、現職14人のうち5人が4月の町議選に「立候補しない」ことを明言した。また「引退したい気持ちが大きい」としながらも「まだやれ、という支持者の声も無視できない」と、胸の内を語った現職も2人いた。
今回の取材で引退の意向を示した7人はいずれも70代で当選回数の内訳は1回が2人、2回3人、4回と5回がそれぞれ1人。4月の選挙に「立候補する予定」と答えた議員は40代から70代までの6人にとどまっている。
4月の選挙に向けて山北町選挙管理員会に立候補に関する問い合わせをしている新顔は、現時点ではいないという。元職も含め、現職以外に立候補に向けた動きが見られないのが現状だ。
府川輝夫議長は「4月の選挙に向けて立候補数が定数の14を大幅に下回ることが想定される。新人の動きもなく議員のなり手不足は極めて深刻な事態だ」と話し、町内の会合などでも有権者に実状をうったえている。
連続無投票
任期満了に伴う山北町議選は4月16日告示、21日投開票で実施され、2月20日には立候補予定者事前説明会がある。
このままの状況が推移すれば15年からの連続無投票は避けられない状況で、14年の町長選、15年町議選、18年町長選と続く無投票の連鎖に歯止めがかからず、選挙による民意の反映ができない状況が長期化しそうだ。
再選挙
4月16日の告示日の立候補届出者数が議員定数の14を下回った場合には候補全員の無投票当選が確定するが、欠員が一定の基準を上回れば欠員分の再選挙を実施する必要がある。
公職選挙法では、市町村議会の選挙で立候補者が定数を下回った場合の欠員が定数の6分の1を超えた場合は欠員分の再選挙実施を規定している。
この場合、選挙後14日以内の異議申立期間を経て50日以内に実施することになり財政負担が増す。
定数14の山北町議会では、12人以上が立候補すれば定数割れでも再選挙は実施されないが、11人以下の場合には6月頃に再選挙が実施されることになる。
神奈川県選挙管理委員会によると、資料が残っている限りでは県内の市区町村議選で定数割れし、公選法に基づく再選挙が実施された例はない。
定数維持の経緯
同議会では昨年夏までに協議を重ね定数維持の方針を多数決で決め、昨年9月には議員定数削減の議員提案を賛成少数で否決。12月に町民有志かが提出した議員定数削減などを求める請願を賛成少数で不採択としている。
群馬県で事例
定数割れに伴う再選挙は、今年1月26日に群馬県昭和村で戦後初めて実施され話題となったばかり。昨年11月27日の村議選告示での立候補者は定数12に対して9人で、欠員3人分の再選挙が1月22日に告示され3人が無投票当選を決めている。
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