10月に発足した岸田文雄内閣でデジタル大臣として初入閣した牧島かれん衆議院議員。総選挙を経て、第2次内閣でも大臣職に就く牧島氏に抱負や展望を聞いた。(聞き手・小田原支社長 野口康英)
―改めて大臣としての職務が始まりましたが、抱負や決意をお聞かせください
「これまで自民党としてデジタル政策の提言を取りまとめる事務局長でしたので、私たちで発信してきたことがいよいよ自分自身で、それを形にしていく立場になったと重く受け止めています」
―就任後の日常は変わりましたか
「以前は新幹線で小田原に戻るときに予定より一本早く乗れたら気軽に乗っていましたが、今は駅の到着時間に警察の方がいらっしゃる。閣僚として分刻みで動く難しさはありますが、基本は変えずにやっています」
―コロナを経て社会のあり様が大きく変わる中、デジタルへの期待や責任についての考えは
「デジタル化が進んでいればコロナ下でもできたことがあったと痛感しています。ただ、その中で”東京一極集中は是正できるのでは”ということも見えてきた。地方で暮らす、または2地域で居住する考えはコロナ禍を経たトレンドになりました。それを続けるにはしっかりデジタル社会を作っていく必要がある。岸田総理が『デジタル田園都市国家構想』を掲げていますが、デジタルの基盤の上に生活が築かれるモデルを地方から作ることが次の政策提言となっていくと思います」
―デジタル技術は今や社会インフラの一部です。さらに普及することで見えてくる社会像は
「公共分野としての役所手続きのほか、健康や医療、教育、防災などについてDX(デジタルトランスフォーメーション=テクノロジーが人々の生活を豊かにするという考え)を意識しています。医療についてはマイナンバーカードと健康保険証の一体化が進み、特定健診や薬剤履歴などの情報がスマートフォン上で確認できる制度を作りました。これは情報がやみくもに誰かに見られるということではなく、医師が健診結果を見る、薬剤師が新たな薬を処方するために活用するといったことです。自分の健康を一緒に考えてほしい人に見てもらえるようになるのは成果の一つとしてお伝えできることです」
―若者や子ども、教育面でのデジタル活用については
「一人1台のタブレット端末を個々の学びに生かすGIGAスクール構想を前倒しで進めましたが、もっとやるべきことはあります。現在はデジタル庁と厚労省、文科省らで子どもに関するデータ連携を目指すプロジェクトチームを発足させ、困窮世帯や虐待が疑われる児童生徒のケアを行う実証実験を地方自治体で進めています。役所の福祉担当者が持つ情報と学校が把握する生徒の様子などを重ねることで、小さなSOSからいち早く支援できるようになると思っています」
―これまでデジタル化については『だれひとり取り残さない』という言葉を伝えてきました
「デジタルは難しいと思われる人がいるのは受け止めています。支援員制度の拡充などを進めながら、得意ではないが挑戦したい方、スマホを使いこなしていない方たちにもアプローチをしたい。またスマホを持っていないという方や、役所の窓口で直接対面で相談したいといった方の声も大事にしていきます」
―今回は規制改革や行政改革分野も担当します
「3改革一体でないと社会は進まないと提言してきたのは私たちです。これまでは各セクションの大臣が一緒に改革を進めてきましたが、今回から私一人と各省庁という形で、3つの改革を進めます。これらは一括で構造改革していかないといけないと思っています」
―テレワークなど、都心から県西にも目が向けられています
「小田原市はスーパーシティ特区の申請に手を挙げたり、チャレンジしてもらっていますが、秦野市や南足柄市、足柄上郡も下郡も『デジタル田園都市国家構想』に高い関心を持っています。テレワーク拠点としてもアクセスが良いエリアなので多くの方が来て関係人口が深まり、移住を考える人が増える可能性もある。東京一極集中からの変化が進むこの時代、県西地域がその魅力をしっかり発信していくことが大切で、そのための基盤を地元の代表として地域の皆さんとともに整えていきたいと思います」
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