足柄 文化
公開日:2022.12.24
寄稿
松田城の魅力に迫る
第1回 松田城の来歴
松田城の知られざる歴史や魅力について、地域の研究者が5回にわたって連載します。
日本全国には、三万から四万の城があったと言われている。しかも、その大部分は「土づくり」の山城であったという。そうした山城の一つが松田町にもあった。松田城である。松田城は、松田山の中腹より南方へ舌状(ぜつじょう)にせり出した尾根沿いに築城された。東は旗矢(はたや)沢、西は天神(てんじん)沢を天然の要害として利用した城郭である。下は広く、上にいくほど狭くなる地形で、敵の侵入を防ぐには好適地だった。
平安時代後期、秦野盆地を本拠とする波多野氏一族が足柄平野に勢力を拡大し、酒匂川流域のこの地に根を下ろして松田氏として定着した。現在でも「松田惣領」「松田庶子(そし)」などの中世地名が残り、松田氏がこの地域一帯を本拠としていたことは間違いない。そうであるなら、松田城も鎌倉時代頃から続く城であっても良さそうだが、今のところ遺構や出土遺物は戦国期のものが大半を占めている。現在、松田城はその大部分が畑地となっているが、一部に堀切などの遺構を残すなど往時の面影を偲(しの)ばせる。
この連載では、松田城に関わる古文書や絵図、石碑、出土遺物などの紹介を通して、松田城の魅力について迫りたい。
(問)松田町生涯学習センター【電話】0465・83・7021
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