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足柄 人物風土記

公開日:2023.01.28

山北町で「硝子工房 流限」を運営する
原田 哲郎さん
山北町在住

ガラスの中に喜びの光

 ○…西丹沢の山麓を訪れると、国指定天然記念物・箒杉の北東数百mに建つ「硝子工房 流限」が見えてくる。中に入ると、溶けたガラスに息を吹き込んで制作した色彩豊かなグラスや風鈴などがずらり。丹精込めた自身の作品を購入者に渡すときは「娘を嫁に出すときの親心みたいな気持ち」と語る。

 ○…横浜市生まれ。手に職を付けたいとの思いに加え「ほかの人があまりやっていないので」吹きガラスの道を志した。石川県にある専門学校で技術などを学んだ後、長野や栃木の工房でガラス作家のアシスタントを経験。ガラスを溶かす炉の仕組みや工房の運営についても学んだ。独立を目指して物件を探し、たどり着いたのが山北町。元々酒屋だった建物で「最初は廃墟のようだった」。当時住んでいた横浜から寝袋を持参し、寝泊りしながら「ほぼ自分で」リフォーム。1年掛かりで工房兼自宅に仕上げたほか、溶解炉なども自ら設計した。

 ○…趣味は5年ほど前から始めたギター。「弾き語るのがストレス発散になっています」。緑豊かなエリアなので、大きな音を出しても「苦情が来ないのがこの場所のメリット」と微笑む。横浜に住む両親は年に数回、工房に遊びに来てくれる。活動を応援してくれて「有難いですね」。

 ○…工房では制作体験も行っており、開業後徐々に口コミが広がって全国紙でも紹介された。テレビ番組の企画で、俳優のつるの剛士さんが吹きガラスの体験に訪れたこともある。近隣の温泉やキャンプ場の利用者が制作体験に訪れることも少なくなく、人との一期一会を楽しみながら、気が付けば開業から10年以上が経過していた。今後も「体力が続く限り工房を継続し、多くの人に喜んでもらいたい」。

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