設立70周年を迎える小田原史談会の会長を務める 荒河 純さん 南足柄市在住 75歳
地域の歴史を紐解く
○…小田原を中心に県西地域の歴史を掘り起こし、後世に伝える活動をする小田原史談会。設立70周年の今年、会長を任された。会員数は約180人。「いろいろな経歴、興味を持つ人がいてそれぞれがやりたいことに挑戦できる自由さが良い」といきいき語る。
○…鳥取県出身。小学校の卒業文集で「小説家になる」と将来の夢を描くが、中学生のときに出会った1冊の本『化学マジック』が少年の夢を変えた。友人と本に記載された”奇術”に挑戦し、校庭の端から端までロケットを飛ばしたことも。「理科室に入り浸って実験したり。結構危険なこともした」と懐かしむ。高等専門学校の工業化学科を卒業後は富士フイルムへ入社。写真感光材料や化粧品の研究・開発など幅広く携わった。
○…「技術屋」の道を突き進んだが、常に文学への思いはあった。40代で小説家、中河与一主宰の同人誌サークルなどに入り、小説を執筆して発表し始めた。60歳で京都造形芸術大(現京都芸大)に入学。卒業論文のテーマはかつて小田原にあった芝居小屋「小田原桐座」。震災や火災で地元に史料がほとんど残っておらず、研究者魂に火がついた。市外に出て史料を探し求め物的証拠を発見、学会でも発表した。地元の講座で講師を務める機会が増えて、その縁から2015年に会員に誘われ、小田原史談会に入会した。
○…70歳で地元の文化誌『扣之帳(ひかえのちょう)』で歴史小説を連載。「次は北条幻庵を書きたい。ほとんど史料がないからこそ面白い」と意欲はとどまらない。地域の他団体との交流にも力を入れ、来年合同展示会を実施予定。「今までと同じことを追求していくとネタが尽きる。視野を変え、広く活動することも大切」。歴史を紐解く旅は続く。
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