富士山噴火のほか、都心南部直下型や南海トラフなどの大地震が、いずれ県西地域にも甚大な被害を及ぼすシナリオは、もはや回避できません。地元自治体や首都機能も麻痺し「公助」にも空白が生まれる可能性もあります。今後求められるのは、一層の自立と連携の強化でしょう。

　理想は公助が停止しても、地域内で命を守り抜ける自立体制。第一歩は、地域資源の再定義です。地域内で有事に本当に使えるモノを確認し、かつ即時動員できるかどうか確認しておくのです。広範囲同時被災の状況下では、機能させたいモノが機能しないことが当たり前に起きます。「想定外を想定する」とよく言いますが、対策に終わりはないのです。

　神奈川県でもこのほど新たに防災冊子を作成しました。今年３月に公表した「神奈川県地震被害想定調査」の内容や、「神奈川県地震防災戦略」に基づき、大規模地震発生時に県民の皆様に行っていただく自助・共助の取り組みを分かりやすくまとめたものです。

　対策や必要な備えは人によって異なります。女性、高齢者、障害者など多様な視点で防災知識や防災上の留意事項をまとめています。また、こども編もあり、登下校中に地震が起きた場合の対応なども記されています。県ホームページでデータ版がご覧いただけますので、ぜひ一度、ご家族で目を通して頂きたいと思います。

　災害対応のポイントは人です。私はより小さな単位で専門家やスキル保有者のリストが必要だと思います。それは、防災知識に限定するものではありません。医療や福祉・衛生、ライフラインやインフラ復旧、情報通信など様々な分野が考えられます。身近な地域で共有できる情報があれば一層心強いでしょう。私もあらゆる想定のもと、提言を続けます。

杉本とおる事務所

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