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足柄 人物風土記

公開日:2026.10.03

八王子空襲での戦争体験を約30年間伝え続ける 山崎 二三子さん 大井町金子在住 91歳

  • 山崎 二三子さん (写真1)

「伝える」という使命感

 ○…「伝えたいのは命の尊さ、生きているっていう重さ」。日常や人々の命を奪う戦争。その記憶が頭から離れることはない。「今ここに生きていることは当たり前ではない、平和の大切さを胸に刻んでほしい」。10月3日、大井町で開かれる平和をテーマにした催しで自身の体験記をもとにした紙芝居が披露される。戦後81年で語り部は減少していく。「自分が伝えなければ」という使命感が背中を押す。

 ○…八王子市で9人きょうだいの五女として生まれた。10歳で経験したのが米軍による八王子空襲だ。火の海と化した町を、大量の服を着込んで約500m先の公園へひたすら走った。逃げ込んだ公衆トイレは人で埋め尽くされ、小窓から見えた光景に「これが地獄ってことなんだと思った」。言葉の一つ一つにその場にいたものだけが知る事実がある。友達の名や学校での思い出も今は曖昧。「戦争で記憶ごと塗り替えられた」と。

 ○…60代前半の頃、大井町の小学校から「戦争の体験を子どもたちに話してほしい」と声を掛けられた。教科書やテレビでしか戦争を知らない児童を前に、身振り手振りで精いっぱい当時の様子を伝えた。歴史や社会背景などを含めると、すべてを理解することは難しいかもしれない。それでも、ともに平和について考える時間を持てたことがうれしかった。後日、届いた感想文は自身にとって宝物だ。

 ○…90歳を超え、これまでの人生を振り返った時、「やはり一人では生きていかれない」という答えのようなものに辿りついた。「してあげたことはその場で忘れる。だけど、してもらったことは絶対に忘れちゃだめだと思う」。見返りを求めず、人とのつながりを何より大切にするのが、自身の生き方だ。

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