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秦野 コラム鵜の目鷹の目

公開日:2015.02.19

vol.5
鵜の目鷹の目
秦野市元教育長東海大学講師 金子信夫

  • 金子信夫

群青【1】



 谷村新司が作詞・作曲した「群青」(ぐんじょう)は、太平洋戦争で特攻隊として尊い命を投げ出した兵士たちと最愛の息子を失った親の心情を歌った曲で、1981年(昭和56年)の映画「連合艦隊」の主題歌でもあります。



 空を染めてゆく 



   この雪が静かに  



 海に積りて



   波を凍らせる  



 空を染めてゆく 



   この雪が静かに



 海を眠らせ 



   貴方を眠らせる



 戦後70年を迎えた本年、南の海に散った一千を超える若い命を含め、玉砕、空襲、原爆により3百万人もの尊い命が失われたあの戦争を日本人はしっかり振り返るべきだと思います。そもそもあの戦争は何であったのか、反対の声を圧殺し戦争への道を開いたのは、「進め一億火の玉だ」を喧伝したのは、真実から目をそむけ沈黙し続けたのは、一体誰だったのか。



 彼らを断罪するためではなく、戦争は集団ヒステリーを誘導することで簡単に作り出すことができるという恐ろしさ、大義や正義をいかに振りかざしても所詮は破壊と殺りくでしかないこと、始まってからではブレーキが効かなくなるという事実をこの機会にもう一度学ぶべきだと思うのです。



 野辺に咲きたる



       一輪の



 花に似て儚(はか)なきは



      人の命か



 せめて海に散れ 



    想いが届かば



 せめて海に咲け



     心の冬薔薇



「冬薔薇」は「ふゆそうび」と読み、冬、1月の季語ですが、群青色の海に咲く薔薇はどのような色で咲くのでしょうか。その色を想うだけで悲しく、悔しく、切なく、申し訳なく、そしてありがたく、手を合わせたくなります。



 凛として 咲き残りたる



冬薔薇 〈川村文香〉

 

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