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秦野 文化

公開日:2017.06.16

快気を願う、ウコンの花
闘病の妻のために栽培

  • 見頃を迎えた花を見て笑顔を見せる和田さん

  • 春ウコンの花

 畑の中に、ひときわ目を引く鮮やかなピンク色。秦野市落合に住む和田仁さん(81)の畑で、春ウコンの花が咲き誇っている。

 春ウコンとは、熱帯アジア原産のショウガ科の多年生植物で、正式名称は「姜黄(キョウオウ)」。ピンク色の花弁を広げ、その下には黄色の仮雄蕊(かゆうずい)(生殖機能を持たない雄しべ)を付ける。日本では沖縄県を中心に栽培されていて、根茎部分がお茶や錠剤など健康補助食品に利用されている。

 カレーの香辛料として知られているターメリック(秋ウコン)は、同じウコンの仲間だ。5・6月頃に開花する春ウコンと、8・9月頃に開花する秋ウコン。秋ウコンは秦野市内でも栽培されているが、春ウコンの栽培は珍しいという。

 和田さんが栽培を始めたのは8年前。きっかけは、妻・博子さんの病だった。

 ガンを患った博子さん。和田さんは病と闘う妻を救いたい一心で、何かできることは無いかと探していた。

 その時たどり着いたのが、春ウコン。春ウコンは健康に有効と考えられている成分を多く含んでおり、ガンの抑制も期待されているという。

 和田さんは沖縄県から3株取り寄せ、畑に植えた。以前から栽培していた秋ウコンを参考に、耐寒性が低い春ウコンが冬を越せるよう、根茎の上に枯れた葉と土を被せるなど工夫を凝らした。

 根茎の有効成分が増えてくるまで約3年。博子さんはその時期を迎える前、栽培2年目で息を引き取った。

 「もっと早くに始めていればよかった」。和田さんは寂しそうに花を見つめて呟いた。

調理の仕方は研究中

 その後も栽培を続け、今では約60株まで増えた。根茎を収穫するようになってからは、どのように調理するかを探っている。生のままかじってみたが、舌がピリピリして苦みがあった。野菜炒めに混ぜたこともあったが、苦みが全体に広がって失敗。「熱を加えた方がいいと思うが…」とまだまだ研究中だ。

 栽培を続けるのには理由がある。「家庭で気軽に利用できるようになれば嬉しい。同じようにガンと闘っている人に教えてあげたい」と話した。

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