寄稿 秦野の歴史と文化(財)に想いを寄せて 秦野歴史おこしの会理事長 小泉孝
例年ですと11月3日の文化の日を挟んで、数日間にわたって市主催の「秦野市指定重要文化財特別公開」が開催されます。ところが今年(令和2年度)はコロナ禍の影響から、開催中止となってしまいました。非常に残念な思いをしております。
こういう時をとらえて、秦野市内の歴史及び文化について想いをいたしてみるのも良いのではないでしょうか。自分たちの住む郷土秦野を知ることは、歴史及び文化を学ぶ原点ともなります。幸いにも郷土秦野は古代以前にさかのぼる悠久の歴史と豊かな文化が今なおいきて存続している地であります。
毎年、市内のいくつかの寺社がそれぞれ所蔵する指定文化財を一般公開しています。年ごと順次変わってゆきます。それを毎年楽しみに、市内外から多くの拝観者が訪れます。その中でも毎年公開されているのが、蓑毛大日堂(管理者・宝蓮寺【電話】0463・81・3528)の諸堂、諸尊です。境内には四つのお堂(仁王門・大日堂・不動尊・十王堂)(国登録有形文化財)と二王像(県内最古)、五智如来像(国内有数)、不動明王像、十王像(希少)、聖観音像(市内最大最古)の多くの仏像が安置されています(県指定重文1体、市指定重文多数)。
山里深い蓑毛の地に約1300年前に聖武天皇の勅願によって建立された寺院(覚王山・安明院・国分寺)であります。長い年月の歴史と文化の詰まった宝庫であります。秦野を代表する寺院であることはもちろんのこと、神奈川県にとっても貴重な文化遺産であります。はじめて来訪された方は一様に数々の仏像の威容に接して、びっくりされます。市民の皆さんには、ぜひ一度足を運んでいただきたいと思います。
今年は「はだの大日堂保存会」の会員を中心に独自に一般公開をされるということですので、貴重な機会をお見逃しなくお出かけください。公開期間は11月1日(日)から11月3日(火)までです。拝観時間は午前10時から午後3時までです。
当地に来ていただくとわかりますが、建物がだいぶ朽損している状態であります。特に二王像につきましては常時風雨にさらされていることもあって、相当にいたみが進んでいる状態であります。「はだの大日堂保存会」では、この窮状を何とかするべく現在種々の対策を検討されているところであります。
この長い歴史の中で今現在私たちが素晴らしい文化財を目にすることができるのは歴代の住職をはじめとした救済に努力を惜しまない多くの人々の協力があったからだと思います。現在の私たちにも、先人から引き継いだ文化遺産を後世の人々に引き継いでゆく使命があると思っています。ぜひ多くの方の協力をお願いしたいものです。
なお、現在有志の皆さんで毎月第一日曜日(元旦含む)に拝観日を設けて、来訪者の方に諸堂、諸尊の見学をしていただくとともに、併せて説明をさせていただいております。是非とも一人でも多くの方に蓑毛大日堂の存在を知っていただきたいと思います。
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