シニアの世界柔道大会などで数多くの金メダルを獲得してきた 森本 唯行さん 汲沢町在住 79歳
今だからこそ、金メダル
○…柔道歴約60年、段位7段。173cm、約90kgのがっしりした体格。13年前に開催されたシニア向けの世界大会「第一回世界マスターズ大会」での優勝を皮切りに、これまで同大会に10回出場、個人戦だけで8個の金メダル、2個の銀メダルを獲得した。自宅には数々のメダルや盾、賞状が至るところに飾られている。「世界大会のおかげで世界中に友達ができたよ。この記事が載ったらみんなに送ってあげようかな」
○…柔道を始めたのは20歳の時。大学進学を夢見て愛媛県から上京するも、終戦後の貧しい状況では住まいと食事のために働くのでやっとだった。「勉強ができないなら、強い体を作ろう」と選んだのが柔道。高校のころから運動はなんでもこなせていたためか、先生も驚くほどの上達っぷり。「続けていけば高段者になれる。柔道整復師の勉強もしたらどうだ」と勧められ、昼は仕事、夜は柔道整復師の学校、合間に柔道という生活に。「当時は毎日必死で大会に出る余裕もなかった。今は楽しむゆとりもあるからね」と振り返る。
○…妻、長男夫婦、孫2人と暮らす。上京してきた時はたった一人だったが、今では次男家族を合わせると11人。集合写真を片手に「よくここまできたなぁと思うよ」と笑みがこぼれる。「お金も家もなーんにもなかった自分」と結婚してくれた妻には本当に感謝しているという。自宅1階の接骨鍼灸院は長男に任せるつもりだが、昔からの常連の希望で現役続行中。
○…月に数回子どもにも指導をしている。怪我をするような力技で戦うのではなく、体と精神を鍛えるのが本来の柔道。柔道(武道)は今年から中学校で必修となる。授業を通して未来の選手が誕生することを期待しているそうだ。4月末には国内の高段者大会に出場予定。狙うはもちろん金メダル。「若い時あれだけ苦労したんだから、歳とってからいい夢みてもいいかな」と豪快に笑った。
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4月18日