戸塚区・泉区 人物風土記
公開日:2025.11.27
パピエ・コレの制作を長年続け、11月30日に解説会を実施する
田島 征生さん
品濃町在住 77歳
渾身の作品「ハートで見て」
○…小さな紙などを台紙にのりで貼り付ける「パピエ・コレ」の技法を使い、作品をつくり続けてきた。色とりどりの細かい紙片がモデルの女性の顔となり美しいドレスとなり、背景となる。現在とつか区民活動センターで作品を展示中で、11月30日には解説会も開催する。「近づいて『まあ細かいわね』っていうよりは、きざな言い方だけど”ハート”で見てほしいんだよ」。作品への愛と自信があふれ出る。
○…戸塚区育ち。高校を卒業後、樹木希林や川久保玲などを輩出した美術学校「セツ・モードセミナー」で学ぶ。昔から絵を描くことは好きだったが、周囲のレベルの高さに触発されて「誰もやらないことをやろう」と始めたのが、パピエ・コレだった。就職後は化粧品店のディスプレイに始まり、銀座四丁目のショーウィンドウやアメリカのビルボードなど、さまざまなデザインを手がけた。「最初の会社が外資系でね。自由にやらせてもらったのがよかったね」と振り返る。
○…15年前、旧友からの依頼で約40年ぶりにパピエ・コレを制作して以来、年賀状用に1枚ずつその数を増やしてきた。極力刃物を使わず、すべて手作業だったが年齢を重ねて難しくなり、2年前の年末「最後に男性がモデルの作品をつくろう」と決意。作業中に体調不良を感じて検査すると、診断は胆管癌。8時間の大手術を終えたが、現在も通院中だ。
○…自身のこれまでを振り返り「人生8割方満足だよ。作品たちは連れて行く。1人じゃつまらないからね」と話す表情は明るい。最近、透明水彩を購入した。新しい制作活動に向け、意欲に満ちあふれている。人生で大事なことは「失敗してもいいからやれ。丸太が完全燃焼して、白い灰が風に消えるように」。
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