「大切なのは精神面。少しでも乱れれば、結果が大きく分かれます」と松本さん。10ｍ先の的に鉛の弾を放ち、合計得点を競うライフル射撃。狙う的は直径３cmほどで、０・５mmの中心からほんのわずかでもずれれば得点は下がる。予選は75分間で60発、決勝では最大24発による得点で勝敗を決する。「１発の重みは大きい」と話す。
以前住んでいた福岡県でライフル射撃に出会った。きっかけは同県が開催する「県タレント発掘事業」。個人の身体能力にあったスポーツを見出し、その力を伸ばそうとする取組で、数あるスポーツの中からライフル射撃がマッチした。高校から本腰を入れ始め、１年生で的に向かって光を照射するビームライフルで、高校生の全国大会に出場し準優勝を飾った。世界の舞台を目指したいという思いから、２年生の時に五輪種目であるエアライフルをメインに取り組む。はじめは思うように成績が出ず、「上手く撃てなかった度に落ち込んでしまい、切り替えができていなかった」。その後『外した原因を考え、次に生かそう』という考え方に変えると成績が伸びはじめ、２年生の終わりには全国大会で優勝。３年生ではインターハイで準優勝、国体で優勝を挙げた。
高校を卒業した昨年から、強豪のクラブチームに所属。「好きなように撃つだけの当初と違い、今はフォームなどを理論的に考える。中心を撃ち抜く瞬間が楽しいです」と魅力を語る。今後はパリ五輪出場に照準を合わせる。日本人メダリストという大きな目標を目指し、小さな的に向き合っている。
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