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鶴見区 人物風土記

公開日:2014.01.16

『シロウオ』で映画監督デビューを果たした
かさこ(笠原崇寛(たかひろ))さん
東寺尾在住 38歳

信念貫く自由な書き人

 ○…30年以上も前、原発計画を住民の力で断念させた町が日本にあった――自身初作品となるドキュメンタリー映画『シロウオ』が、1月25日に鶴見公会堂で上映される。「昔は阻止できたのになぜ今はできないのか。原発に頼らなかった人々の生き様を見てもらいたい」。「かさこ」の名でフリーライターとして活躍し、ブログのアクセス数は一日平均7千越え。ネット上では有数の有名ブロガーだ。

 ○…就職氷河期に喘いだ学生時代。本命ではなかった金融会社に就職、入社2年足らずでトップセールスまで登りつめた。ハードな業界に身を置きながら、自身の旅行記を自費出版するなど、自分の世界は大切に持ち続けた。転機は入社3年目。冬休みにインド旅行を計画していたが、過労がたたって前日に風邪をひき、急きょキャンセルに。「なぜ仕事のせいで旅行に行けないのだろう。このまま死んだら後悔する」と、退社を決意した。その後、あこがれだったマスコミ業界に飛び込み、一昨年独立。原発ルポ作者の誘いを受け、映画監督を引き受けることになった。

 ○…趣味の旅行と写真を、仕事にもつなげている。これまで30カ国以上を訪れ、旅先の写真にメッセージを加えた『かさこマガジン』を無料で発行。「『いつかしたい』は『しない』と同義」。旅先で得た経験を通して、縛られない自由な人生の素晴らしさを読者に呼びかける。娘とのひとときを満喫できるのもフリーならでは。「保育園に迎えに行くのが楽しみ」と、生まれ育った土地で父親としての喜びを噛みしめる。

 ○…「チェルノブイリ原発事故が起こる前なのに、なぜ反対できたのだろうか」。監督デビュー作で、原発マネーを拒絶できた「地域の力」の正体に迫っている。「ホントに原発はいいのか、考えるヒントになれば」。ふるさとを守ろうと断固たる決意を持った地域住民の生き様を、生まれ故郷から発信する。

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