高層マンションが次々と建設されている武蔵小杉地区で不安視されている「ビル風」。この風環境を調査しようと、大学教授らによる研究プロジェクトチームが発足した。メンバーらは今月5日、小杉周辺の約10カ所で観測を行った。
発足した「風環境マップ作成・研究プロジェクトチーム」のメンバーは、川崎市環境影響評価審議会委員で東京工芸大教授の義江龍一郎氏、大妻女子大環境情報学講師の白澤多一氏、(株)風環境リサーチ代表取締役の藤井邦雄氏ら、風の研究を進めている専門家。
これまで小杉周辺では、樹木が倒れたり、転倒によるケガ人が出たりと、ビルの間を吹き抜ける「ビル風」の影響と思われる被害が幾つか報告されている。しかし、風が強いと感じる場所であっても、ビル建設当初の予測では風環境指標の「風環境評価尺度」で強風発生頻度が低いとする〈ランク1〉の箇所もあるという。そのため今回のプロジェクトでは、街を流れる風に対する認識を共有するとともに、風環境評価における予測と現実に乖離がないかなどを分析していくことも目的。また最終的には現行の風環境評価尺度の見直しに対しても一石投じていきたい考えもあるという。
観測結果をWebで公開
メンバーらは11月5日、参加協力した大学生とともに小杉周辺の約10カ所で観測を開始。スマートフォンに取り付けた簡易風速計を用い、最大瞬間風速や平均風速などを測定した他、時間や詳細な場所、感じたことなども記録した。義江さんは「上空の風や風向き等によって違うが、この日は比較的穏やかな風だった。タワープレイスの南東が一番強かった」と話した。
研究チームでは今後、調査結果を集計し風環境マップを作成、区民も閲覧できるようWeb上で公開する予定だという。義江さんは「風環境マップにより、風が強い時には避けるべき場所や夏に心地良い風が吹く場所等を知ってもらい、日々の生活や街づくりに役立ててもらえれば」と話す。
風速計を無料貸出
同研究チームでは、観測への協力者を募集中。対象は小杉周辺在住で定期観測が可能な人。無料で簡易風速計を貸し出すが、iPhone専用のためユーザーが対象。定員20人。観測に対する条件は特に設けず、自由な日時に、風速記録や場所、その時の印象や事象等を記録する。観測希望や詳細は、研究チーム(【メール】kaze-map@excite.co.jp)まで。
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