軍都の歩み伝える場「必要」 資料館建設求め有志グループ
横須賀市に軍港資料館の建設を求める有志グループが今月22日、立ち上がった。海軍第一軍港として栄えた町の成り立ちや変遷、海軍工廠、海軍航空技術廠の果たした役割と技術史を語り継ぐ施設の必要性を市などに求めていく。シンポジウムの開催や見学ツアーなど、市民意識の醸成も視野に入れた活動を展開していく構え。
グループの名称は「横須賀軍港資料館を作る市民の会」。郷土史研究家の山本詔一氏が会長を務め、役員には海上自衛隊OB、市議会議員、会社役員などが名を連ねている。現在の会員数は30名程度という。
同会では、軍都としての発展と反省、日本の近代工業の先鞭となった製鉄・造船技術の歩みを振り返る施設が市内に存在していないことを疑問視。「現存する資料の散逸を防ぐ意味でも保存・収集のための拠点化を急ぐべき」との見解を示し、建設地に関しては「ヴェルニー公園内が理想」(同会)と話している。
事業計画では、6月下旬に同会の特別顧問で広島県呉市にある「大和ミュージアム」館長の戸高一成氏を迎えてシンポジウムを開くほか、市内にある軍港遺産の見学会を行う。海軍工廠従事者などへの聞き取り調査なども実施、会報を通じて情報提供していくという。
「国内最古級の洋館 活用しては」
同会では、軍港資料館の建物として、03年に米地基地内から解体・撤去した「旧横須賀製鉄所副首長官舎」(ティボディエ邸)の復元活用を求めていく考えだ。
同邸宅は現存する国内最古級の西洋風木造建築。時期は不明だが、遅くとも明治3年末までには完成していたと見られている。木造の柱にレンガが詰まった「木骨レンガ充填(じゅうてん)造り」と呼ばれる工法の平屋建てで石の基礎などにも特徴がある。現在は、旧坂本小の教室に保管されているが、同校の売却に伴って、上の台中に移設されるという。山本会長は「米海軍とは復元を条件に解体が行われた経緯がある」と話し、計画の目途もなく放置されている現状にも意見を発している。
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