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横須賀・三浦 人物風土記

公開日:2012.12.14

障がい者の自立に取り組む「よこすか片マヒ希望の会」で中心的に活動する
蘇武(そぶ)春男さん
馬堀海岸在住 70歳

障がいをはね返す「希望」



 ○…障がい者にも夢がある。寝て見る夢よりも、起きて見る夢を叶えたい。だから「希望の会」と名付けた。障がい者が積極的に”表”に出て前向きに楽しめるよう、夏のバーベキュー大会では、会で作った「三浦だいこん飴」を販売し、今月はいも煮交流会を開催。高齢者や子ども達との交流の場をつくった。「自分が(半身マヒに)なるとは思いませんでした。でもなったからには、それなりの楽しみ方を学んでいます」。



 ○…それは6年前に突然やってきた。市内で行われたイベントの手伝いに参加した時。「急に立ち上がれなくなったんです」と振り返る。すぐさま救急病院に搬送された。病名は脳梗塞。健康そのものだった生活が一変した。後遺症で右半身マヒになり、食事の時も左手でスプーンやフォークを持たなければならなくなった。言語障がいも残った。「あ…、う…、しか喋れませんでした」。自分の意思を相手に伝えられないもどかしさを味わった。



 ○…塞ぎこんでいた気持ちに変化が生じたのは、3年がたった頃。ヘレンケラーの人生を扱ったテレビ番組を見たのがきっかけだった。盲聾唖(もうろうあ)だった彼女と比べて、「まだ自分は『あ、う、』だけでも言える。見ることも聞くこともできる。”迎え”が来るまでは、できる事からやってみようと思うようになりました」。コミュニケーションは、身振りを交えながら自分のペースでゆっくり喋ればいい。今では会話も違和感が無いまでに回復。「マイ箸を使って魚の骨も取れますよ」と微笑む。



 ○…現役時代は土産物の食品セールの最前線に立っていた。「三浦半島を観光のまちにしたい」という思いは今も強い。いつの日か三浦一族がNHK大河ドラマで放映され、横須賀が全国的に注目されることを願う。もうひとつ、約30人が在籍する会員の「自立」をめざすのは、横須賀は医療費のかからない元気なまちであってほしいから。叶えたい夢はいくつもある。

 

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