平塚フィルハーモニー管弦楽団 タウンレポート ルーツは"囲碁の聖地"に
音楽版木谷道場
今年で創立20周年の節目を迎える市内唯一のオーケストラ、平塚フィルハーモニー管弦楽団。平塚市内を中心に茅ヶ崎市・厚木市・大磯町など近隣に住む社会人や自営業者、主婦がクラシックの美しい音色を奏でる。同楽団の歴史を紐解くと、昭和前期を代表する囲碁棋士・木谷實九段の「木谷道場」へ辿り着く。
「当時は練習の合間に木谷實さんのお弟子さんと五目並べをやったものです。後で知ったのですが、加藤正夫さんなど今では高名な棋士もいました」。同楽団初期メンバーで、前身団体「平塚吹奏楽愛好会」から所属している鳥海潤子さんと佐野美穂さんは当時を回想する。
愛好会は昭和37年、木谷九段の長女で芸大出身のピアノ教師だった木谷和子さんが発起人となり結成。学生は部活動以外の演奏の場として、社会人や主婦は唯一本格的な吹奏楽ができる場として、50人前後が活動していた。
設立当初はあちこちを転々としながら練習していたそうだが、木谷九段が若者たちの熱意にほだされて自宅を練習場として開放。会社や学校を終えた団員は夜7時から10時頃まで、時には家族の生活する母屋で練習することもあったという。「でも、うるさいと言われたことはないです。お母さん(木谷夫人)にもとても良くしていただきました。まさに”音楽版木谷道場”でしたね」と、和子さんは懐かしむ。
年2回の定期演奏会や市からの依頼など精力的に演奏を行っていたが、紆余曲折を経て一時解散。数年のブランクがあったが、最大の理解者だった木谷夫人の「オーケストラを作りなさい」の一言が、和子さんの背中を押した。和子さんはかつてのメンバーや市内の弦楽グループに声をかけ、20人程で「平塚室内合奏団」を設立する。中央公民館で開かれた初回コンサートは満員の大盛況だった。しかし、木谷夫人は公演を見ることなく永眠。夫人を知る鳥海さんや佐野さんは「今でもそれが心残り」と口を揃える。
最初は手伝いの演奏者が多かったという同合奏団も、満席で成功となった初回コンサートがきっかけとなり団員が今と同規模の70人程まで増える。賛助会発足で運営資金もでき、2回目からは市民センターホールでコンサートを開くまでになった。
「室内合奏団はオーケストラの規模に見合わない」と、第4回に現在の「平塚フィルハーモニー管弦楽団」として初お目見え。発足当初、常任指揮者に迎えた学生の城谷正博氏は、現在は新国立劇場の専属スタッフにもなるなど、第一線で活躍する人も。
以来、市内唯一のオーケストラ団体として活動し、6/26には20周年記念定期演奏会が市民センターで14時より開催される。
定期演奏会のチケット購入等に関する問合せは同楽団【携帯電話】080・3095・3763まで。
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