ロンドンパラリンピックで金メダルを獲得したゴールボール女子日本代表 欠端(かけはた)瑛子さん 横浜美術大学 2年
決めた道、信じて前へ
○…パラリンピックの団体球技で日本の金メダルは史上初の快挙。以来、テレビ出演や講演会、プロ野球の始球式に呼ばれるなど引っ張りダコだ。ゴールボールは1チーム3人で鈴の入ったボールを転がしゴールを狙う、視覚障害者の団体球技。「あまり知られていない競技なので、注目されることは嬉しい。いろんな人に知ってもらいたい」。このほど横浜市からもスポーツ栄誉賞を受賞した。「やっぱり地元で注目されるのは少し照れ臭いです」と、はにかむ表情は今どきの若者だ。
○…ゴールボールとは高校2年の時、授業で出合った。元々は運動嫌いだが、聴覚でプレイするこの球技に「自分でもできる」と、のめり込んだ。夢の舞台、パラリンピックではスウェーデン戦が印象に残る。1対1のエクストラスローへ勝敗がもつれ込み、最後の投球者として出番を待つ。「心臓がばくばくしていた」と振り返る。ポジションに着き、深く息を吐くと同時に肩の力も自然と抜けた。「練習でもない初めての感覚。すごく集中できた」。相手の投球を止め勝利に貢献した。
○…「やってみなくちゃわからない」が持論。幼い頃から美術が好きで、「木工おもちゃを作りたい」と横浜美術大学へ。『弱視で工具を使用するのは危険では』という周囲の声を押し切り、工芸を専攻した。「周りからは頑固とよく言われる」と苦笑い。工具の使用が難しく、木工職人は断念。現在は布を扱うテキスタイルを勉強中だ。柄のデザインやシャツのリメイクなどの課題に奮闘中。「ものを形にすることが楽しい」と創作意欲はますます高まる。
○…現在は大学に専念するためゴールボールの活動は休止中。惜しむ声もあったが、「美術を仕事にするという夢のために頑張りたい」と前向きだ。先日、大雪の中で成人式を迎えた。母親と一緒に選んだ、淡いグリーンの着物で身を包み、一歩を踏み出した。「ダメならその時考える。やりたいことに挑戦していきたい」。
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