横浜市立鴨志田中学校(染谷富美恵校長)は、卒業生に向けた黒板アートをサプライズで企画。地元の横浜美術大学の学生が協力し、3月14日の卒業証書授与式に合わせて、3年生の各学級の黒板をアートで彩った。
「えー!やばい、似てる」。14日朝、教室に足を踏み入れた生徒らは歓声を上げた。3年1組の仲内梨菜さんは「びっくりした。嬉しい。特徴がでていてすごく似ている」と笑顔をみせた。
これは、3学年主任の小原善仁教諭のアイデアで実現したもの。「地元に美大があるので一緒に芸術的な活動ができないか考えていた」との思いから昨年夏頃、大学側に企画を打診。同大のボランティア講座を担当する辻康介准教授の呼びかけで、4人の学生が参加することになった。
制作したのは2年で絵画コースの土屋晃一さん、中村文香(あやか)さん、イラストレーションコースの栗山邑和(ゆうな)さん、山口幸恵さん。3学年の3クラスと個別支援学級の計4つの黒板をそれぞれ担当。各学級担任と打ち合わせを重ね、卒業生一人ひとりの似顔絵を描くことが決まった。「学級目標をいれて」などの要望に応えてイメージを固め、2月のリハーサルを経て本番に備えてきた。辻准教授は「学外で自主的に学ぶ機会として参加した。意欲的に取り組んでくれて頼もしい」と話す。
作業は11日の午後、3年生が下校してからスタート。学生は黒板をチョークで塗り、綿棒や布巾で消して線を描く手法で制作を進めた。色が限られているため、陰影で立体感を表すなど工夫を重ねたという。この日は夜9時まで行い、春休み返上で前日までに完成させ、それぞれの持ち味が生きた作品が仕上がった。卒業式当日は学生も待機し、生徒の様子を見守った。
オリジナルキャラクターも描いた中村さんは「にぎやかにしてお祝いムードを出した」と笑顔。「一生の思い出になると思うと適当なものは描けない」と取り組んだ土屋さんは、海外アニメのタッチを意識したイラストを披露した。山口さんは学級旗に描かれた鳥をモチーフに制作。「鳥と一緒に飛び立つイメージ。喜んでもらえてよかった」と声を弾ませた。歓声をあげる生徒の姿に涙をみせた栗山さんは中学3年当時、東日本大震災で一時避難していたため、自身の卒業式に出られなかったという。「今回、こういう形で参加できてすごく嬉しい。とても良い経験になった」と語った。
染谷校長は「地域の学生さんが一生懸命取り組んでくれた。今後も連携を深めていけたら」と話した。
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